今春のセンバツに出場した静岡が、8-0の7回コールドで富士市立を破り、8年連続51度目の夏のシード権を獲得した。センバツ前、不調に苦しんだ竹内奎人投手(3年)が先発し、5回を1安打無四球4三振で無失点。「右のエース」の復活で、静岡が2季連続甲子園出場に向けて好発進した。

 竹内が完全復活した。1回裏、1回戦で浜松商を破って勢いに乗る富士市立を3者凡退に抑え、波に乗った。直球は常時130キロを超え、最速は137キロ。丁寧にコーナーを突き、4回1死まで1人の走者も許さない安定感を見せた。

 「今日は自分の投球ができました。(センバツ後)悪いところを修正し、思い切り腕が振れるようになりました」

 試行錯誤を繰り返した。センバツ前は、より角度をつけて投げようと、右腕を高い位置から振り下ろすフォームに改造した。だが、一向に調子が上がらず、急成長の春翔一朗投手(2年)に2番手投手の座を明けわたした。反省からセンバツ後は「力んで腕だけで投げている」と分析し、「少し(角度を)下げて」本来のフォームを取り戻した。冬場に筋力アップしたこともあり、「軽く投げてもスピードが出る。軸になる直球が良くなったのが一番大きいです」と手応えを感じている。

 竹内の復調で、栗林俊輔監督(44)の表情もほころんだ。「今日は90点。池谷(蒼大投手=3年)と2本柱か、それ以上になるつもりで頑張って欲しい」。夏のシード権は通過点。竹内は「甲子園優勝が目標。池谷と並んで投げられるようになりたい」と言った。夏の甲子園出場、全国の頂点へ。静岡が大きな1歩を踏み出した。【鈴木正章】