静岡が、逆転サヨナラ勝ちで決勝に進出し、2年ぶり19度目の春季東海大会出場を決めた。藤枝明誠にリードされながら、9回裏に2点を入れた。決勝は6日に行われる。

 静高が底力を見せた。9回裏1死満塁のチャンスで1番村松開人(2年)が、2球目の外角直球を振り抜いた。

 「思い切り踏み込んで打ちに行きました。抜けてくれて良かったです」

 左越え二塁打で二塁走者の木下省吾(2年)が生還し、逆転サヨナラ勝ち。冷静な静高ナインが珍しく声を上げて喜んだ。

 村松は6回にエラーで相手に3点目を献上しただけに、ミスを帳消しにして安堵(あんど)の表情。「先輩たちが『切り替えろ』と声をかけてくれました。緊張もあったけど、吹っ切れました」と感謝した。ここまで2試合は8打数1安打と不振だったが、踏み込む右足を高く上げ、トップの位置を下げる「中学時代のフォーム」に戻した。結果、この日は2安打を放ち、「今大会は『野手の大会』にしようとチームで話していました。接戦をイメージした練習をしてきて、思った通りの野球ができました」と笑顔を見せた。

 2年ぶりの東海大会進出を決めた栗林俊輔監督(44)も満足げな表情で言った。「我慢が9割5分の試合。こういう展開をやりたいとずっと思っていました。価値ある一戦になったと思います」。我慢の末の劇的勝利で、王者静高が自信をさらに深めた。【鈴木正章】