新潟の「黄金カード」が9季ぶりに実現する。新潟明訓が投打で開志学園を一蹴し、秋春連覇を狙う日本文理との準決勝(13日・悠久山)に駒を進めた。部田(とりた)隼平主将(3年)が3長打で3打点を挙げ、連日の3安打「猛打賞」。10-0の6回コールド劇に導いた。

 ノーシードから登場の新潟明訓が10日間で5試合目の疲れも見せず、14安打10点と打ちまくった。そして主将の1番打者が元気にチームを鼓舞した。部田は「初回に絶対打ってやろう、という気持ちでした」。2球目を打って右翼線を破る三塁打。先頭から4者連続得点につなげ、2回にも右二塁打、3回には1死満塁で走者一掃の左中間三塁打と、序盤で7-0の大勝ムードに導いた。

 前日7日の上越戦でも、第3打席から3連続長打。2日にわたって6打席連続長打の離れ業だった。課題は初回の第1打席。1番に定着して公式戦で安打がなかった「鬼門」だったが、突破できたことで「前の試合からの続きで、落ち着いて打席に入れました」と5回の三直で途切れるまで、快音を響かせた。

 公式戦初先発の荘司康誠投手(2年)も、6回を2安打2四球で「完封」の快投だった。188センチの右腕は角度のある直球を投げ込み、二塁を踏ませたのも1度だけ。「朝の練習で(先発を)言われてビックリしましたが、ストライク先行でテンポ良く投げられた」と、4試合で39得点を奪った開志学園を完璧に抑え込んだ。自らのバットでも6回1死満塁で公式戦初安打が左前適時打となり、コールド勝ちを決めた。

 そして日本文理と、14年春決勝以来の「文明戦」が決まった。平成以降の新潟高校野球をリードする両雄の対決は、「越後の早慶戦」と称される人気カード。本間健治郎監督(43)は「本当の力試し。みんなが意気に感じて、(状態を)ピークに持っていければ」と静かに闘志を内に秘め、部田主将は「自分たちは挑戦者。1球1球に集中して勝ちにいきたい」と気合を入れた。【中島正好】