中越が3時間ゲームを制し、春は2年ぶりの決勝に進出した。関根学園との準決勝は5-5の延長11回1死二塁で、長岡真男(まお)右翼手(2年)が勝ち越しの左中間適時二塁打。続く小鷹葵捕手(2年)がダメ押しの2ラン。昨秋の準々決勝で6-7と惜敗した相手に雪辱した。

 下位打線の2年生コンビが熱戦に終止符を打った。中越は5-5で迎えた延長11回、得点圏に勝ち越しの走者を置いて、ここまで4打数無安打の6番長岡に打席が回った。「初球から振って、絶対にオレが走者をかえそうと、フルスイングした」。アグレッシブ思考で初球をたたくと、打球は左中間に飛び、勝ち越しとなる決勝適時二塁打。多いときで1日1000スイングしてきた努力が、貴重な場面で結実した。

 そんな押せ押せムードに7番小鷹も乗った。「長岡の勝ち越し打で気持ちが楽になった」と初球を右翼スタンドまで運んだ。「前の2打席はインコースに手が出なかった。だから、それを狙った」。思惑通りの一撃はダメ押し2ラン。3点リードで勝負を決め、「捕手として配球を考えるから、打撃は二の次に考えていた」と話しながらも、2安打3打点を稼いだ。

 本田仁哉監督(40)は「最後は打撃で上回ることができた」と話し、「長岡と小鷹は力をつけてきたので11回はチャンス。いい打順だと思った。ここで勝ち切りたいと考えていた」と狙い通りの展開に満足した。怖いもの知らずの2年生たちが、勝負を決する場面で力を発揮した。

 昨夏の甲子園でスタメン出場は坂井琢真遊撃手(3年)だけだった。昨秋は関根学園に敗れてから、チーム内で一から競争させた。ひと冬越えて頭角を現した2年生は、スタメン野手に4人が並ぶまでになった。競争激化が全体のレベルアップにつながり、本田監督は「夏までに登録にからんできそうな1年生も4、5人いる」と、戦力層は確実に厚くなっている。長岡は「3年生の足を引っ張らないように」という心意気が、快打を生み出した。【涌井幹雄】