北海道大谷室蘭が5-4の逆転サヨナラ勝ちで苫小牧工を下し、代表決定戦進出を決めた。9回表に2失点。3点差に離されて迎えたその裏、連打と相手失策絡みで同点に追い付くと、2死満塁から4番吉田龍平左翼手(3年)が決勝の右前打を放ち、01年以来16年ぶりの春の全道大会へ、あと1勝とした。2回戦まで2試合計5打数無安打と湿っていた主砲は「ずっと足を引っ張っていたから、どうしても打ちたかった」と喜んだ。

 17日の2回戦苫小牧西戦後、坂本亘監督(47)は無安打の吉田龍に「4番はもう無理だな」と、あえて突き放した。帰宅した吉田龍は、父でOBの寛治さん(ともひろ=50)に相談。子供の頃から息子の癖を熟知する父は言った。「トップの位置が高い。グリップを下げてみろ」。すぐに映像で見直し、その夜から新フォームで練習を始めた。この日は最初の打席で左前打と、効果はすぐに出た。

 人生初のサヨナラ打に「どんな状況でもはね返せるという気持ちが出てきた」。坂本監督も「こういう勝ち方ができると選手は自信がつく。エースが打たれても、みんなでカバーして逆転したのは大きい」と手応えを口にした。土俵際でうっちゃる粘りの野球で今日20日、昨秋全道8強の鵡川に挑む。【永野高輔】