横浜(神奈川2位)の万波中正投手(2年)が“二刀流”で潜在能力の高さを示した。打席では2安打。投げては7回1死から救援し、自己記録を3キロ更新する最速145キロの活躍で、土浦湖北(茨城3位)を下した。

 1球で雰囲気を変えた。10点リードの7回1死。横浜・万波があいさつ代わりの145キロ直球で、スタンドをどよめかせた。春の県大会での自己記録を3キロ更新し、最後は144キロの直球で空を切らせた。「スピードが出て、自分でもビックリしました」という1球だった。

 コンゴ出身の父と日本人の母を持つ二刀流は、登板の準備も想像を超えた。平田監督から登板を言われたのは7回1死一、三塁。スクイズで三塁から生還した後だった。ブルペンでの投球はわずか1球。それでも、1死後に右翼からマウンドに上がった万波はプラス7球で肩を作った。

 昨夏の県大会3回戦、松陽戦。横浜スタジアムの電光掲示板下「コカ・コーラ」の看板に直撃する特大弾を放った。この日も2安打。二刀流での活躍は、中日石井チーフスカウトから「身体能力が高い。モノが違う」と絶賛された。

 成長スピードでも、驚かせる。秋の時点で最速は137キロだったが、約半年で8キロもアップ。テークバックを小さくする投球フォームに修正し、以前より持ち前のパワーがボールに伝わり始めた。「(投手陣を)カバーできるようになれれば」と二刀流に意欲を示した。【久保賢吾】

 ◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、東京都生まれ。小2で野球を始め、開進二中では東練馬シニアに所属。外野手兼投手で3年時に全国大会4位。陸上部にも所属し、砲丸投げで都大会で優勝した。横浜では1年春からベンチ入り。横浜OBのDeNA筒香に憧れ、マーリンズのスタントンをお手本とする。好きな食べ物は白米、肉、とろろそばなど。190センチ、89キロ。右投げ右打ち。