岩手県大会はセンバツ8強の盛岡大付が宮古に大苦戦し、何とか4強に入った。

 苦しんだ末、盛岡大付が宮古に逆転勝ちした。終盤に5つの本塁打を放つ派手な大技で、試合をひっくり返した。昨夏甲子園から定着した試合スタイル「盛付(もりふ)劇場」は健在だ。

 2-7と5点差で迎えた7回裏、3点を返し2点差に詰め寄る。なお1死一、三塁の好機で5番比嘉賢伸主将(3年)が打席に入る。「バットに当てることを考えていた」と振り抜いた打球は、右翼への逆転3ラン。比嘉は8回にも2打席連発となる2ランを放ち、打線は7、8回で計5本塁打11得点の大爆発。5点ビハインドから、安心の6点リードに一変させた。

 「投手陣の底上げ」がチームのテーマだ。この日は背番号10の吉田颯(3年)が登板。しかし、味方のミスも重なり4回までに7失点。7回の逆転直後にはエース左腕三浦瑞樹(3年)を投入し流れを絶ったが、最終回に登板した臼井春貴投手(3年)が4失点し、不安は残る。終わってみれば、わずか2点差の辛勝。最後まで目が離せないハラハラドキドキの劇場は続いた。

 終盤に強力打線が爆発する、驚異的な粘りについて関口清治監督(40)は「1点入ると、勢いがつく。無駄な失点をなくせば、もっとすんなり勝てるんですけど」と奮起を期待した。2本塁打で劇場の主役に躍り出た比嘉主将は「本当はもっと失点をなくさないといけない。次の花巻東にはどんな形でも絶対に勝つ」と意気込んだ。【林野智】