秋田の開幕戦では、金足農が4-1で大館桂桜を退け、18年ぶり5度目の優勝に向けて好発進した。2年生右腕吉田輝星(こうせい)が自己最速144キロの速球に多彩な変化球を交えて10奪三振、6安打1失点(自責0点)完投。主将の3番・安田広郎捕手(3年)が大会1号の先制2ランを放つなど、主戦バッテリーが勝利に貢献した。

 吉田が今夏の秋田の「イチ押し投手候補」に名乗りを上げた。9回表2死一塁。この日10個目の空振り三振に仕留め、開幕戦白星を飾った。5回と8回に自己最速を4キロ更新する144キロをマーク。「普通にうれしいです」と話した。

 7回に四球や暴投絡みで失点すると、鼻血を出して一時ベンチに下がった。それでも再びマウンドに上がり、三振でピンチを切り抜け「ちょっと休んで落ち着けた」。冬場はひざ下まで埋まる1周およそ400メートルのコースを計10本、長靴を履いて全力疾走するなど下半身とスタミナ強化を行った。体重も6キロ増の78キロ。4番としても地区大会で本塁打を放つなど「パワーがついた」と実感している。

 「バッターに考える時間を与えないようにしている」というテンポ良い投球が持ち味。球数を少なくするため、今春習得したスローカーブも織り交ぜ、打たせて取ることを心掛けている。だが、走者を背負ったらギアチェンジ。「今年中に145キロを出したい」と自慢の速球にも磨きをかけるつもりだ。

 女房役の安田主将も3回裏1死二塁、公式戦2本目の左翼越え先制2ランで援護した。地区準々決勝の明桜戦では、0-0で延長戦に入り、2度リードするも追いつかれ、12回で敗れる悔しさを味わった。互いに勝ち上がれば決勝で再戦できる。吉田と安田は「明桜を倒して東北大会に行く」と闘志をむき出しにした。【佐々木雄高】

 ◆吉田輝星(よしだ・こうせい)2001年(平13)1月12日、秋田・潟上市生まれ。天王小3年からスポーツ少年団「天王ヴィクトリーズ」で野球を始める。天王中では軟式野球部に所属し、3年時に潟上市中学選抜入り。金足農では1年夏に背番号20でベンチ入り。同秋からエース。家族は両親、弟。右投げ右打ち。173センチ、78キロ。

 ◆安田広郎(やすだ・ひろお)2000年(平12)2月14日、秋田・井川町生まれ。井川小4年から井川野球スポーツ少年団で野球を始める。井川中では軟式野球部に所属。捕手で入学した金足農では1年夏から5番・一塁手でレギュラー。2年秋から主将を務め、今春から捕手。家族は祖父母、両親、姉2人。右投げ右打ち。179センチ、78キロ。