仙台育英の西巻賢二主将（３年）が、投手で公式戦初先発し、完封で飾った。

　ピンチは３回の１死満塁だけ。それ以外の８イニングは二塁も踏ませなかった。速球とスライダーのコンビネーションで被安打５、三振は６つ奪った。「ピッチャーっていうのは責任のある場所。打球を決める存在でもあるし」と、存分にマウンドを楽しんだ。

　本職は遊撃手。佐々木順一朗監督（５７）は「夏までに西巻と佐川（光明＝３年）が投げられるように。どういう相手になるか分からないから」と投手陣の底上げを図るため、西巻に先発を託した。５回を予定していたが、投手戦となり「バッテリーを代えづらくなった」（同監督）ため、１人で投げ抜いた。

　昨秋の東北大会などに救援登板していた西巻は、２月末に右肘に違和感を覚え、守備の送球にも影響を及ぼした。初戦敗退したセンバツも、直前の練習試合でようやく遊撃の守備に就いたほどだった。復帰登板は２４日、県大会２回戦（対仙台）の１イニング。この日は中２日での登板だった。

　１番打者の打撃では初回に先頭打者アーチ。スイングにも響いた右肘の不安が消え「何の問題もなく（バットが）振れているのがいいのかな」と話した。高校通算１１号は、意外にも公式戦初本塁打。先発、完封、１発。西巻の投打の初ものづくしが４強入りを呼び込んだ。