今春センバツで初のベスト8に進出した盛岡大付が、花巻東を3-2で下し、6年連続13回目の東北大会出場を決めた。センバツ以来の先発マウンドとなったエース三浦瑞樹投手(3年)が、花巻東打線を7安打2失点に抑えての完投勝利。岩手頂上対決を制し、4年ぶり7度目の優勝に王手をかけた。

 大黒柱の力投で、夏を争うライバルとの前哨戦を制した。「花巻東は向かってくる打者が多いけど負けないでしっかり投げることができました」と三浦瑞。球数104と打たせて取る投球術で強力打線をほんろうした。中盤までに2点を許したがキレのある直球にスライダーを織りまぜ、4回以降をぴしゃりと抑えた。

 意地のぶつかり合いだった。8回に先頭で打席に立つと左腰骨に死球を受け悲鳴を上げた。残り2イニング。大事を取って交代かと思われたが、譲らなかった。バッテリーの松田夏生捕手(3年)は「日本一になるためにはここで負けられない。経験豊富な投手なので不安はなかった。気合を入れてやりました」とバックも盛り上げ、8、9回を無失点に抑えた。

 センバツ以降、夏へ向け投手陣の底上げを図ってきた盛岡大付。鈴木麻生(3年)、ソフトバンク松本裕樹の弟跳馬(2年)ら、計算できる左腕投手の台頭も著しいが、あえて本番モードで臨んだ。関口清治監督(39)は「一番いい投手を先発させた。夏に向け、花巻東のような強い相手に対して勝ち慣れるような状況をつくりたいので。久々の先発でしたが要所要所を抑えてくれた。明日? 三浦の連投が理想。これからはもう少し投げさせていきます」と夏へ向け照準を絞った。

 岩手頂上決戦で投げ勝った三浦瑞は「連投は気にならないので、落ち着いた投球を心がけたい」。センバツ8強左腕の、夏へ向けた最終調整が始まった。【下田雄一】