第56回春季全道高校野球が今日29日、札幌円山で開幕する。名寄地区から2年連続で出場する稚内大谷は、初日の1回戦で旭川実と対戦する。4月の練習試合で9回7失点したエース正岡翔也(3年)は、バレーボールのアタックを意識した投球フォームに修正し、春の大会に臨んできた。地区2試合で13回無失点と好投した左腕が、全道の舞台でリベンジを期す。

 稚内大谷の正岡は、28日の公式練習で本間敬三監督(33)が横で見守る中、投球練習を行いマウンドを確認した。「やっぱり円山球場は投げて気持ち良いですね」と笑顔を見せた。名寄地区予選では2試合で13回を投げ3安打無失点に抑えた。2年連続27度目の春全道に導いたエースは「前に負けた相手がいるので次は勝ちたい」。4月の練習試合で9回7失点した旭川実との再戦に意気込む。

 “アタック投法”で臨む。縦のカーブを覚えるため、3月のワールド・ベースボールクラシック(WBC)日本代表にもなったソフトバンク武田翔太投手(24)を研究した。小学時代にバレーボールを経験した武田は落差のあるカーブを投げる時、アタックのように肘を高い位置からリリースする。動画を繰り返し見て学び実践した。

 本来の目的である縦のカーブは習得できなかったがヒントを得た。170センチの身長から投げ込む直球やスライダーの腕の振りを「バレーボールのアタックをイメージすると自分にしっくり合う」と応用した。4月は上半身の力だけで投げていたフォームを反省し、下半身との連動を意識した。5月から調子が上がり地区での結果につなげた。本間監督は「すこぶる良い。ベンチで見て安心してました」と信頼を寄せる。

 昨秋は全道大会準決勝で札幌日大に敗れた。正岡は先発5回6失点でマウンドを降りた。互いに初戦を突破すれば、対戦が実現する。今春、チームは00年まで使用したユニホームに変えて心機一転を図った。「失点を最低限に抑えて勝ちにこだわりたい」と背番号1。リベンジにアタックして夏にはずみをつける。【西塚祐司】