開幕試合で、昨夏、秋と2季連続で全道大会準優勝の札幌日大が、猛打で鵡川を13-9と逆転で下し初戦を突破した。2回に0-7と大きく離されたが、敗色濃厚な状況から18安打13点の猛攻で逆転し、昨秋8強の難敵を倒した。

 あきらめない姿勢が勝利を引き寄せた。札幌日大の2番手、木山大翔投手(3年)が、逆襲のスイッチを入れた。2回に先発石井蒼大(2年)が連打と2つの失策絡みで7失点と、一気に劣勢になった。2回2死から登板した木山は「投球も打撃も、7点とられたことを1回忘れてみよう」と切り替えた。3回1死一塁、最初の打席で右越えに大会1号2ラン。この回3点を挙げ逆転劇が幕を開けた。

 4回に2点を返すも、その裏に2点を失い5-9。点差が縮まらないジレンマの中、森本卓朗監督(36)は5回終了後、選手を集めて言った。「序盤の失点はミスで与えたもの。無駄な失点をしないで、塁をためて1点ずつ取ればいい」。この言葉で気を取り直すと6回、1番森拓実から5番中田啓太(ともに3年)まで5連打で同点に追い付き、流れを一転させた。

 センバツ出場校を倒した自負があった。3番高橋海渡(3年)は「7点取られたときは、正直やばいと思った。でも僕らは地区予選で札幌第一や北海に勝って出ている。初戦で負けるわけにはいかないという気持ちが強かった」と言う。高橋はこの日、3安打3打点。難敵に打ち勝ってきたプライドが、背中を押した。

 冷静な観察眼と、事前準備も打線爆発の糸口になった。2戦連続完封で室蘭地区を勝ち上がってきた鵡川エース半田について、試合中に「変化球になると腕の振りが少し遅くなる」と選手間で情報を共有。1、2回は3者凡退も、3回から高めの変化球狙いで好投手を打ち砕いた。昨秋から森本監督が続けてきた、直球にヤマを張りながら変化球に対応する練習も、集中砲火のベースになった。

 「1球1球、集中してやってくれた。こういう勝ち方は夏に向け良い経験になる」と同監督。春は90年の準優勝が最高で優勝はない。ド派手な1勝で勢いをつけ、初の春王座を狙う。【永野高輔】