大船渡の大器が衝撃デビューした。1年生右腕の佐々木朗希(ろうき)が、8回2死二、三塁から公式戦初登板。投じたストレート14球すべてが140キロ台を計測して、1回3分の1を無安打無失点、3つの三振を奪った。

 8回は1点差に詰め寄られ、一打同点、逆転のピンチで登場。「3年生のためにも0点に抑えたかった」と、145キロの速球で空振り三振に仕留めた。9回には自己最速の147キロをマーク。高校に入学して3カ月余りで、速球は常時140キロ台。スタンドはどよめき、驚いた。

 軟式野球部に所属していた大船渡一中では最速141キロを誇り、県内でも能力の高さは知られていた。長身186センチの恵まれた体と、しなやかな腕の振り。初登板でチームを3回戦に導き、吉田一知監督(44)は「公式戦初登板で立派ですね。やっぱり素質なんでしょうね」と、褒めちぎった。

 「中学の野球が楽しくて。その仲間と一緒に甲子園に行きたい」と強豪私学には進学せず、地元の大船渡を選んだ。体重は71キロとまだ線が細く、体が出来ていないため、今夏は短いイニングの登板になる見込み。

 11年東日本大震災の津波被害で、岩手・陸前高田市の自宅を流され、大船渡に移り住んだ苦労や、震災後の苦しさも味わっている。夢については「プロ? 今は考えていない。まずは甲子園に行くこと」と力を込めた。