苦しんだ分だけ神村学園(鹿児島)ナインの感情が一気にはじけた。12年以来の夏切符を手にした小田大介監督(34)も男泣きした。春の九州大会王者が、追い込まれて最後に底力を見せた。

 2度先行され、流れをつかめないまま迎えた8回だった。5回に代打で同点打を放っていた前畑太壱内野手(3年)が「とにかく塁に出ようと思った」と、再び同点とするソロ本塁打。精神統一のため、ベンチ裏で座禅を組む男が勢いをつけた。なお2死満塁で後藤拓真主将(3年)が「鹿児島で一番練習してきた自信がある。監督を男にしたかった」とバットに思いを込め、右越えに勝ち越しの二塁打を放った。後藤主将は「守備からリズムをつくり、強い神村学園を見せたい」。たくましさを手に聖地へ乗り込む。

 ◆神村学園 1956年(昭31)前身の串木野経理専門学校として創立された私立校。90年から現校名。97年から男女共学。生徒数1312人(女子1047人)。野球部は03年創部で部員61人。甲子園は05年センバツ初出場で準優勝するなど春5度。夏は4度目。OBに西武野上亮磨ら。鹿児島県いちき串木野市別府4460。神村裕之校長。

◆Vへの足跡

2回戦9-3沖永良部

3回戦6-1出水中央

4回戦8-2加世田

準々決勝7-0川内商工

準決勝5-4樟南

決勝5-2鹿児島