万波の季節がやってきた! 2連覇を狙う横浜(神奈川)が武相に6-4で逆転勝ちした。1点を追う8回に6番の万波中正外野手(2年)が、左翼越えの2点適時三塁打を放った。不振にあえいだ「元スーパー1年生」が、いよいよ復活の兆しだ。

 照りつける太陽の下で、万波が顔をくしゃくしゃにさせた。1点を追う8回、1死二、三塁。カウント2-0からスライダーをすくった。190センチ、89キロのパワーが宿った打球は、左翼手の頭を軽々と越えた。今大会2安打目が、値千金の逆転2点適時三塁打。ベンチに戻ると仲間の手荒い祝福が待っていた。

 万波 スライダーだけを狙っていた。何が何でも打ちたかった。公式戦の手厚い歓迎は久しぶりだった

 5回に逆転を許した。先頭打者が四球を選び、ドラフト候補の4番増田珠外野手(3年)が「つなぐ気持ちで打つしかないと思った」と執念の右前打を放った。無死一、二塁で長南有航外野手(2年)に回った。初回に3戦連続の3ランを放った絶好調男へのサインは犠打だった。平田徹監督(34)は万波にかけた。

 万波 自分を信じて監督が長南にバントをさせた。胸が熱くなりました。監督と長南、増田さんにありがとうって言いたい。

 「スーパー中学生」として鳴り物入りで入学して1年がたった。しかし、今春は県大会、関東大会を通じて大不振。緩い変化球に苦しんだ。「もっと自分でもできると思っていたのに、自分で自分の名前に負けていた」。今夏2回戦以降は、打撃マシンで右肩から入るカーブを打ち体の開きを矯正した。4月から専任となった高山大輝コーチ(26)を「お兄さん的存在」として慕い、悩みを打ち明けたことも大きかった。

 約1年前。松陽との3回戦で横浜スタジアムの電光掲示板を直撃する衝撃の公式戦初本塁打を放った。

 万波 次はチャンスで回って来いって思える。迷惑をかけた分、自分が打って恩返ししたい。

 夏男のボルテージがいよいよ上がってきた。【和田美保】