9回2死。試合終了まで「あと1人」となって、大逆転劇は始まった。東東京大会の準々決勝が行われた24日、神宮を舞台に、東亜学園が修徳相手にやってのけた。1-7で迎えた9回2死二塁からだ。この回、打者13人を送り、2四球、8安打で9点を奪って逆転した。昨年、決勝に進みながら、延長10回の末、関東第一に逆転サヨナラ負け。その悔しさが大逆転の原動力になった。同校は27日、決勝進出をかけて東海大高輪台と対決する。

 一塁側に陣取る東亜学園応援団の大声援が、打球を右中間に押しやった。修徳の右翼手が1度は後退、慌てて左に走る。間に合わない。4番・土岐大聖遊撃手(3年)の打球だった。1点差に詰め寄り、なお2死二、三塁。この二塁打で2者が生還し8-7と逆転した。「だれも諦めていなかった。つないでくれた。ちょっと詰まったけど、落ちてくれました」。土岐が興奮気味に話した。

 昨夏、決勝で逆転サヨナラ負けした悔しさが土岐を後押しした。延長10回、1点を奪って勝ち越したその裏、2点を失い、目前の甲子園が消えていた。自宅の机の前には、関東第一のメンバー表がテープで貼られている。「去年の決勝のやつです。悔しさを忘れたことはないです」。思いは、他選手も同じだった。