早実・清宮がいない、履正社・安田がいない、だから好選手が少ない、というのが今大会を覆う空気だが、予想外に好選手が多かった。まずネット裏に陣取るスカウトを喜ばせたのが広陵(広島)中村奨成捕手(3年)と北海(南北海道)阪口皓亮投手(3年)の2人だろう。

 中村は江の川(現石見智翠館)時代の谷繋元信以来の強肩と評価する声があった。イニング間の二塁送球で私が計測した最速は1秒87。これは超高校級と評価してもいいタイムである。強豪同士の戦いとなった中京大中京戦では2本塁打を放ち、打撃面でもスカウトの評価を上げた。

 阪口はスカウトが「これほどいいとは」とつぶやいた剛腕だ。南北海道大会、今大会の神戸国際大付戦の成績も芳しくなく、あるスカウトは「どうして打たれるんだろう」と首をひねった。しかし、最速148キロのストレートはボリューム感十分で、ディフェンス面でも良さを見せ、速いだけの投手ではない。

 2人以外でも好選手が多かった。センバツの優勝投手、大阪桐蔭・徳山壮磨投手(3年)は精密機械のような制球力が光り、打者は広部就平内野手(3年)を筆頭に秀岳館(熊本)勢の腰の据わったバッティングがひときわ目についた。(ベースボールライター)