仙台育英(宮城)が9回2死走者なしから、奇跡の大逆転サヨナラ勝ちで春王者を沈めた。中前打と四球でつなぐも、7番若山の当たりは平凡な遊ゴロ。試合終了のはずだったが、相手一塁手の右足がベースから離れてセーフ。満塁とし、今大会3打席目の8番馬目が殊勲打を放った。「自分で決めてやろうと。打った瞬間は頭が真っ白。正直、ショートゴロで終わったと思った」。2球目の甘く真ん中に入った137キロ直球をたたいて中堅手の頭上を破ると、仙台育英ナインがホームに集まり喜びを爆発させた。

 決死の覚悟が大逆転を呼び込んだ。2死から出塁し、ノーサインで二盗を決めた5番杉山は「自分を信じて走った」と胸を張った。若山は必死に頭から一塁へ突っ込んだ。「打ったら正面、ヤバいと思った。ヘッドスライディングしたら、審判がセーフだと言っていた」。佐々木順一朗監督(57)は「夢みたい。うれしさを通り越している」と満面の笑みを見せた。

 エース左腕長谷川は8回に失点するまで今大会22イニング連続無失点。敗戦覚悟のベンチで下を向いていた長谷川は「喜びで疲れを感じない。明日(20日)もいきます」と広陵との準々決勝に闘志を燃やした。【高橋洋平】

 ◆仙台育英が連覇阻止 仙台育英が大阪桐蔭の春夏連覇を阻んだ。同校の春夏連覇阻止は13年に浦和学院を11-10で破って以来2度目。春夏連覇を2度阻止したのは広陵が69年に三重、07年に常葉学園菊川を破ったのに次いで2校目。