広陵(広島)は仙台育英(宮城)に快勝し、10年ぶりの4強。今日21日の休養日を挟み、明日22日に準決勝が行われる。

 広陵の15安打10得点の口火を切ったのは、プロ注目の中村だった。初回1死一塁、低めの直球を左中間へはじき返し、チーム初安打となる二塁打で二、三塁にチャンスを広げた。「いいところでつなぎのバッティングができた。チームに勢いをつけられた」。直後の加川の犠飛で先制すると、その後も打線がつながって、初回でいきなり3点を奪った。

 3回には先頭打者として左前打を放ち、1死一塁から二盗に成功。再びこの回3点の火付け役となり、守備では3投手を好リードした。4試合連続本塁打はならず、あと1本としている清原の持つ1大会5本塁打の最多記録に並べなかったものの、「今日は良い勝ち方ができた」と笑顔。広陵の甲子園春夏通算70勝と、広島野村と巨人小林を擁して準優勝した07年以来、10年ぶりの4強進出に貢献した。

 77人が亡くなった広島市の土砂災害から、この日で3年。ナインは「野球をやれる幸せに感謝しよう」という中井監督の言葉を胸に試合に臨んだ。中村も「家族や友達を亡くした方に元気を与えられたら」と全力でプレーした。5打数2安打で甲子園通算打率を6割6分7厘に落として「今日は打てなくて悔しい。(準決勝は)もっと良い状態にしたい」と意気込んだ。気持ちはすでに明日22日の天理との準決勝に向かっていた。【中島万季】