東海大菅生(西東京)が強打で初の4強に進出した。主将の小玉佳吾内野手(3年)が2試合連続の先制2ランなどで打線をけん引。佐藤弘教外野手(3年)、松井惇外野手(3年)も2ランを放ち、3試合連続のマルチ本塁打で三本松(香川)に圧勝した。今日21日の休養日を挟み、明日22日に準決勝が行われる。

 小玉は早実・清宮に「俺たちの分も頼む」と託された思いを、バットに込めた。1回裏、1死一塁。スライダーを2球見送った後の3球目を仕留め、打球は右中間スタンドに吸い込まれた。「よっしゃ!」。つぶやきながらダイヤモンドを回る。甲子園2本目の本塁打は先制アーチになった。

 チームの徹底力は完璧だった。「高めに浮いたスライダーを振り抜いた」。低めの変化球は捨て浮いたボールを引きつけて右方向へ。第2打席も左前打で3回戦から6打席連続安打。チームも3試合連続の2桁安打で打率4割8厘、7本塁打。4強トップの打率の強力打線が勝利を引き寄せる。若林弘泰監督(50)も「想定外ですね」と、笑顔を見せた。

 小玉はチームの大黒柱に成長した。春からウエートトレーニングと食トレに力を入れた。体重も5キロアップの83キロに。チームの合言葉は「ケツ周り100センチ」。夏の大会前までに、これをクリアしたのは、小玉と佐藤の2人だけ。通算本塁打も秋までは5本も、春からは量産ペースに乗せ通算19本まで積み上げた。

 主将としてもチームに欠かせない存在だ。12月上旬の強化練習では選手たちの怠慢な練習態度にミーティングで涙した。小玉の涙にチームメートの心が動き、冬の厳しい練習を全員で乗り越えた。7月上旬には練習試合で右手親指を骨折。若林監督に「打てなくてもいい。守備で出て欲しい」と相談され迷いはなかった。全治3週間も、5回戦から二塁で強行出場。春までは背番号1で投手登録も、野手としての出場に徹し打撃で貢献している。

 新チームスタート時からチームの目標を「全国制覇」に据えた。「西東京大会の優勝を通過点にする」と意識を変えて臨み、あと2つまで登ってきた。「どうしても優勝したい」。小玉の視線は頂点しか、とらえていない。【保坂淑子】

 ◆小玉佳吾(こだま・けいご)1999年(平11)5月29日生まれ、神奈川県出身。小2から開成イーグルスで野球を始め、エースで4番。小6年時の県大会で4強入り。中学では秦野シニアに所属し、三塁手として県大会ベスト4。東海大菅生では、1年秋から投手としてベンチ入り。181センチ、81キロ。右投げ右打ち。家族は祖父、祖母、両親と姉2人。