神奈川県のすべての県立高校の部活動が、4月から、週平均2日以上に相当する休養を取るように、県教育委員会から指導を受けることになった。県教育委員会の教育局指導部保健体育課が19日「4月からやります」と明らかにした。

 県教育委関係者は「スポーツ庁から、3月中旬に『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』が県に伝えられます。県は、それに則って準用します」と話し、神奈川以外でも全国的に「則って準用」する自治体が相次ぐことも予想される。

 今回の措置は、教員の働き方改革の一環で、部活動顧問の負担軽減が期待される。現時点では神奈川の私学や市立高には適用されない。県の教育委関係者は「則って」を繰り返し、スポーツ庁の方針に従わざるをえない事情をにじませた。ちなみに、県はスポーツ庁の方針を市に下達するが、市は県と違い「則る」必要はなく「参考に」して方針を決定できるという。

 一方で、同県は実際に運動部で活動している生徒の意識調査などはしていない。意中の運動部で活躍することを夢見て、受験勉強をし入学した生徒の気持ちには「則って」はくれない。同教育委のコンセプトは「スチューデント・ファースト」だというが、言行不一致と言わざるを得ない。

 野球激戦区の神奈川は、県立校の甲子園出場のブランクが全国ワースト。1951年の希望ケ丘以来の県立校による県制覇には、大きな足かせとなりそうだ。Y校の呼称で親しまれる古豪・横浜商などは、市立なので適用外。

 野球以外でもバスケットやバレーボール、サッカー、陸上など、県立校が覇を競っている競技は多い。県バスケットボール関係者は「去年の県の調査で、運動部の週当たりの平均活動時間は5・2日。つまり、0・2日分減らせば、週2日休みの計算になるというけど、ほとんど活動していない部も含めた平均だからね。チャンピオンシップを求める、熱心な指導者は、不満に思うはず。私学と公立の平等をはかるべき。せっかく平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)、2年後の東京五輪で盛り上がっているのに、スポーツの活性化をそぐことになるよね」と、県立校に限り一律に課せられる措置には疑問を感じていた。

 県高校野球連盟と県バスケットボール協会には19日現在、苦情や問い合わせはないという。「声が上がらないのは、スポーツ庁とか教育委員会が相手だから、文句言っても仕方ないという空気なのかも」と話す関係者もいた。