全道10地区のトップを切って札幌地区が開幕した。札幌龍谷学園は札幌平岸を14-4の6回コールドで下し、6年ぶりの春全道大会出場に向け好発進した。3回に4番山田滉典(こうすけ)三塁手(3年)が大会1号の同点2ラン、5番山田明享(あきたか)左翼手(2年)は2安打1打点。2番手で登板の山田泰希(たいき)投手(2年)は5回1/3を無失点と、トリプル山田が勝利に貢献した。

 春の山田祭りで、札幌龍谷学園が快勝した。一気にギアを上げたのは4番の山田滉だ。2-4の3回1死二塁から右越え2ランで振り出しに戻した。通算9本目、公式戦1号に「苦手な内角をあそこまで飛ばせたのは良かった」と喜んだ。練習試合で内角球への弱点を露呈。開幕3日前、寺西直貴監督(47)に“緊急オペ”を受けていた。インパクトの瞬間、意識して左手に力を入れるよう修正し、初戦で結果を出した。

 投げては1回2死から登板の山田泰が好リリーフ。流れを引き寄せると、5番の山田明は6回1死一、三塁で左中間に適時二塁打を放ち、コールド勝ちにつなげた。昨秋は地区3回戦で公立校の北広島に1-9と完敗した。山田明は無安打に終わった屈辱の一戦を振り返り「秋は雰囲気にのまれてしまった。今日は何とかその反省を生かして落ち着いて打席に立てた」と手応えを口にした。

 兄弟でも親戚でもない3人の山田がフル稼働。チームでは3人を呼ぶ際、3年の山田滉を名前の「コースケ」、168センチの山田泰と、183センチの山田明の2年生組は、その身長で「ヤマショウ」「ヤマダイ」と分けている。「ヤマショウ」こと山田泰は「コースケさんが三塁から声をかけてくれたので落ち着いて投げられた」と感謝。山田の絆が逆転勝利を呼び込んだ。

 秋の敗戦後、コースケは白米だけ1リットルの弁当箱2つ、ヤマダイは1リットル弁当箱に、げんこつサイズのおにぎり4つを学校に持参し増量に挑んだ。コースケは秋から8キロ増の74キロ、ヤマダイは3キロ増の74キロと、サイズアップに成功した。「パワーがないと札幌を勝ち抜けない」とコースケ。馬力たっぷりのドカベン軍団を軸に、札幌龍谷学園が全道切符を狙う。【永野高輔】