元プロ野球選手を父に持つ球児が大暴れした。巨人などで活躍した前田幸長氏(47)の次男、日大三(東京1位)前田聖矢外野手(2年)は、公式戦初本塁打を放ち、試合の流れを引き寄せた。

 スタンドで見守る父に、公式戦初本塁打で応えた。2回無死一塁、前田は右翼ポールに直撃する先制の2ランを放った。「父にいいところを見せられてよかったです」と笑顔を見せた。

 初球から振りにいく積極打法が持ち味だ。1球目をファウルにした後の2球目、インコース低めのスライダーを自分らしく振り抜き捉えた。チームはこの一打で流れにのり、11安打で習志野を圧倒した。

 センバツの凡退を生かした。2回戦の三重戦で代打で出場するも遊飛に終わり、チームも敗れた。「速い打球に差し込まれ気味だった」と反省し「1、2、3のタイミング」で打っていた「2」の後に間を置くスイングに修正した。「春からの練習が生かせた。でも、ヒットの延長線が本塁打。本当にまぐれみたいな感じ」と謙遜したが、7番左翼での先発起用が成長の証し。「いい回転で打ったね。前田の本塁打で勢いがついた」と、小倉全由監督(61)も認める1本になった。

 憧れの選手は20日、1試合3本塁打を打ったDeNA筒香選手。「ああなれたらいいと思う」。憧れの選手に近づく第1歩を踏み出した。【保坂淑子】