高崎健康福祉大高崎(群馬1位)は1点を追う9回裏1死満塁、主将の大柿廉太郎捕手(3年)の遊ゴロが敵失を誘い、木更津総合(千葉1位)にサヨナラ勝ち。持ち味の「機動破壊」に打撃力を加えた「新・健大打線」で、12年以来6年ぶりの優勝を目指す。

 必死に二塁へ向かって走っていた大柿は、スタンドの大歓声で振り向いた。7-8で迎えた9回1死満塁、主将の大柿は外角低めのスライダーに食らいつき、ゴロを打った。遊撃手の悪送球を誘い、ボールが転々とする間に二塁走者も生還。果敢な走塁でかき回す「機動破壊」を土壇場で見せつけ決勝進出。大柿は「全力で走っていたら、みんなが喜んでいるのが見えました」。8回攻撃前は4-8からの逆転劇に、青柳博文監督(45)も「まさか勝てるとは思わなかった」と汗をぬぐった。

 「機動破壊」に、打撃力が加わった「新・健大打線」がつながった。4点を追う3回、享保駿内野手(3年)が通算39号となる2ランで反撃ののろしを上げた。大柿は「追う展開でも粘れる。焦らずに攻められる」と自信を持っている。

 12年春のセンバツに初出場で4強入りしたが、14年以降は8強止まり。指揮官は「足だけでは、限界がある。打てないと勝てない」と実感。今年はプロ注目の山下航汰外野手、広島の高山健一スカウト(46)を父に持つ高山遼太郎内野手(ともに3年)を中心に、主力で計200本塁打を誇る。同監督が「歴代で最高の野手」と称する打力で、春の関東の頂点をつかむ。【保坂恭子】