ミラクル開成、再び! 札幌開成中教校が5-4で千歳に逆転サヨナラ勝ちした。1点を追う9回1死二、三塁から暴投で同点、最後は3番川村聡太投手(3年)が中前に決勝打を放った。中高一貫の中等教育学校に完全移行して2年目。札幌開成時代に夏の甲子園に出場してから30年の節目に、3季通じて初白星をつかんだ。

 固唾(かたず)をのんで打球の行方を追った。同点の9回2死三塁。札幌開成中教校の3番川村は初球を肘をたたんで振り抜いた。「まずい、どん詰まりだ。抜けろ-」。思いが乗った打球は中前に落ち、サヨナラ打になった。「本当に良かった。素直にうれしい」。瞳をうるませながら、声の限りに校歌を歌った。

 「ミラクル開成」復活の第1歩だ。同校は、昭和最後の年だった88年夏に札幌市内の公立校として戦後初めて甲子園出場した札幌開成(17年閉校)が、中高一貫校として生まれ変わった。完全移行2年目で3季通じて初勝利。30年前に2年生部員として甲子園を経験しているOB前多隆志監督(46)は「感慨深いものがあります」としみじみと口にした。

 聖地に立った先輩は憧れの存在だ。ナインはそろって過去の映像を見ることがあり、川村は「監督の横っ跳びキャッチはさすが」と刺激を受けている。この日、打席ではホームベース寄りのギリギリに立つ作戦をチームで徹底した。1点を追う9回1死の死球から「ミラクル逆転劇」は始まった。当時のナインも分析力を駆使して甲子園で2桁安打をマーク。進学校らしい分析と、相反する根性も兼ね備えた野球は変わっていない。

 勝ち進めば代表決定戦は春王者・札幌第一の可能性がある。「30年前も第一さんを倒して甲子園に行った。持ち味のチームワークを発揮したい」と川村。平成最後の聖地へ、勢いづく初戦となった。【西塚祐司】