ボート部からの助っ人2人を含む選手11人で戦った西和賀が、最速154キロの佐々木朗希投手(2年)を擁する大船渡に逆転勝ちし、11年ぶりの4回戦進出を果たした。

 先発右腕の高橋大樹(3年)が9回7安打7奪三振2失点で完投。打線は6回終了時まで1人も走者を出せなかったが、7回に4安打を集中させて一気に3点を奪って逆転した。注目の佐々木朗は登板せず「1番中堅」で出場し、無安打に終わった。

 11人の和を最大限に発揮した西和賀が優勝候補の一角、大船渡を押し切った。エース兼4番で主将も務める高橋大が、最速を1キロ更新する138キロの直球と4種類の変化球を低めに集め、9回2失点で完投。最速154キロの怪物右腕擁する相手に全く動じなかった。「俺たちが勝って大船渡の甲子園を阻止しようぜ、と話していた。ボート部の2人がいなかったら、明るく元気に戦えてなかった」と助っ人の存在を強調した。

 6月でボート部を引退した三浦海都外野手(3年)がムードメーカー役となった。小中で野球経験があり「5番左翼」で先発。6回終了時まで1人も走者を出せなかったが、ベンチでは「初球から積極的に振っていこうぜ」と鼓舞していた。逆転した7回は押し出し四球で1点を返した直後の無死満塁で登場。「当てなきゃ始まらない」と必死の二ゴロが相手二塁手の本塁悪送球を誘い同点。続く6番が中堅佐々木朗の前に落ちる中前打で勝ち越した。三浦は「ボート部の東北大会がふがいなく終わっていた。こんな充実した夏になるなんて思ってもみなかった」と満面の笑みを浮かべた。

 春の地区大会は9人で臨み、選手の体調不良で試合を棄権していた。その教訓から伊藤貴樹監督(37)は6月で部活を引退する生徒をリストアップしていた。「三浦は授業で教えていたから、明るいのは分かっていた。技術的には期待してなかったけど、やらせたら意外にうまかった(笑い)」。佐々木朗を無安打に抑えてチームに流れを呼び込んだ大黒柱のエース高橋大も「次も明るく楽しく勝つ」と強気に宣言。11人が束になって戦えば、怖いものは何もない。【高橋洋平】