怪物1年生から、剛腕2年生へと進化した。酒田南が15-3の5回コールドで米沢興譲館に快勝し、7年連続で8強入りした。5回から2番手で191センチの巨漢右腕・渡辺拓海(2年)が「投げたくてウズウズしていた」と今夏初登板。自己最速の144キロを3球投じ、スタンドを沸かせた。

 先頭打者への初球から、1球ごとに加速した。球速は140から始まり、142、143と上がり、空振り三振に仕留めた6球目は144。直球は常時140キロ台を計測した。きらやかスタジアムにはバックネット裏にもスピード表示があり、「アドレナリンが出た」と喜々として腕を振れるモチベーションがあった。

 投じた18球のうち、変化球は3球程度。いずれも詰まった2つの右前打で2死一、三塁とされ、「真っすぐオンリーで行きたかったけど、途中で張られたので」とスライダーも試し、無失点に抑えた。最速は昨秋の138キロから大幅更新。広島近藤芳久スカウト(52)は「ストレートに力がある」と評価した。

 1年春から公式戦で登板する。体重は入学時の117キロから、「100キロを切らないとエースはない」という鈴木剛監督(37)のゲキに、109キロまで絞った。学校からグラウンドまで約7キロをランニングし、食事をご飯丼2杯から野菜ジュースなどに替えた。鈴木監督は「144が事実として出たので、彼の自信になってもらえれば」と成長を感じていた。【中島正好】