高校野球北埼玉大会決勝が24日、行われる。昨夏、埼玉県勢初の甲子園優勝を果たした花咲徳栄と、県内の高校野球ファンから高い人気を誇る名門・上尾が対戦する。

 実は6月14日に、前哨戦として練習試合が行われた。両校は例年、練習試合を組む間柄。今回も夏の大会で直接対決する可能性があったが、もともとの予定通り、鴻巣市のフラワースタジアムでナイターで行われた。試合は8対0で花咲徳栄が勝利した。

 花咲徳栄はドラフト候補・野村佑希外野手(3年)が「4番・DH」で出場した上で、打線はフルメンバー。二塁打5本を含む15安打を放った。下位打線の3人がともにマルチ安打を記録した。野村はレフトへ大飛球を放ったが、強風に押し戻されて左飛に。「1本損した…」と苦笑いを見せた。野村は投手としても9回に登板。上尾の村上達哉内野手(3年)に二塁打を浴びるものの、1回無失点に抑えた。

 上尾はエース木村歩夢投手(3年)と日野吉彬外野手(3年)が故障などで欠場したが、他はフルメンバー。花咲徳栄に3併殺を喫したが、粘って食らいついた。ベンチでは全員が最前列に立ち、食い入るように花咲徳栄ナインの動きを見定めていた。

 5回までは1-0だったが、最後は8点差がついた。花咲徳栄の底力が如実に現れた試合だったが、上尾の高野和樹監督(51)も「得たものがありました」と話した。打者4人だけとはいえ「投手・野村」の球筋を大会前に確認できた。守備陣が相手打線の強い打球を体験できたことも大きいはずだ。上尾はその後、練習試合の戦績も良く、上向きで大会に臨んでいる。

 上尾がリベンジするか、花咲徳栄が今回も押し切るか。練習試合とは違い、大観衆が入る。暑さや疲労度も段違いだ。決勝戦独特の雰囲気の中、6月14日とはまるで違った試合展開になる可能性もある。高野監督は「上尾の野球で全国チャンピオンに挑みたい」、花咲徳栄の岩井隆監督(48)は「何が何でも勝ちたい」と、両チームとも並々ならぬ意気込みだ。【金子真仁】