第100回全国高校野球選手権記念大会は、第6日の1回戦3試合が行われる。第2試合には夏2度の全国制覇を誇る日大三(西東京)が登場する。

 元球児による「レジェンド始球式」は江の川(現石見智翠館)OBの谷繁元信氏が務める。強肩強打の捕手として1987年、翌88年に夏の甲子園に出場した。88年(第70回大会)8強入りしたが、準々決勝では前田幸長、山之内ら擁する福岡第一に3-9で敗れた。88年のドラフトで横浜大洋(現DeNA)に1位指名され入団。02年に中日に移籍。プロ通算3021試合出場はNPB史上1位。通算2108安打を放ち、名球会に名を連ねている。

<見どころ>

▽1回戦

【第1試合(9:30) 敦賀気比(福井)-木更津総合(東千葉)】

 3年ぶり8度目出場の敦賀気比が、まずは3年ぶりの夏1勝を目指す。2015年のセンバツでは平沼投手(現日本ハム)を擁し全国制覇を果たしたが、夏の甲子園では1995年、2014年の4強が最高。福井県勢初の夏頂点へ、強力打線で1勝ずつ積み重ねていく。福井大会5試合で計48得点(1試合平均9・6点)で勝ち上がった。チーム打率は3割9分1厘で、1番岩本大輔、2番黒田響生がともに打率5割と打撃好調。2人で12四死球、4盗塁と出塁率が高く、得点源となる。また、打率8割(10打数8安打)の7番細谷のバットにも注目だ。

 投手陣は1、2年が中心で背番1の木下は福井大会3試合で12回3分の1を投げ、被安打3、失点0と好投。甲子園でもカーブを武器に快投が期待される。

 3年連続7度目出場の木更津総合が、2年ぶりの夏勝利を目指す。2016年(第98回大会)は早川隆久投手(現早大)を擁しベスト8。記念大会で2校参加した今夏、中央学院(西千葉)は済美に1回戦敗退(4-5)となっただけに残った木更津総合が野球どころ千葉の意地をみせたい。

 東千葉大会は6試合で72安打50得点、チーム打率3割8分1厘の強力打線が実力を発揮した。決勝の成田戦でも6番太田、1番東が本塁打を放ち10得点、投げては野尻が2失点完投で快勝した。4番野尻が打率4割7分6厘と中心的存在でレギュラークラス7人が打率4割超。切れ目のない打線に加え、犠打21、盗塁13と小技も冴える。

 投手陣は6投手の継投で乗り切ってきた。決勝で完投した野尻は3試合に登板し21イニングを投げ、被安打14、与四死球8、2失点、20奪三振と安定感が光る。5試合に登板した根本も140キロ後半の速球が武器と複数投手がそれぞれの個性を放つ。バックも6試合で3失策と堅い守りでサポートする。

◆敦賀気比のおもなOB 巨人内海哲也、オリックス吉田正尚

◆木更津総合のおもなOB 楽天与田剛コーチ、DeNA井納翔一

 

【第2試合(12:00) 日大三(西東京)-折尾愛真(北福岡)】

 5年ぶり17度目出場の日大三が、2011年夏の優勝以来、7年ぶりの夏勝利を目指す。7年前の夏は高山(現阪神)横尾(日本ハム)らを中心に強力打線もウリだった。今夏も伝統の打線は健在。打率4割1分7厘の4番大塚は、決勝の日大鶴ケ丘戦でプロ注目の勝又温史投手からサヨナラ2ランを放つなど勝負強さを発揮した。主将の3番日置も打率4割2分3厘、2本塁打、8打点の注目スラッガー。5番中村も打率3割6分、7打点。チーム打率こそ3割2分3厘と今大会の56代表校と比較すれば目立った数字ではないが、クリーンアップ3人の6試合計22打点が光る。

 投手陣はエース中村とU18日本代表候補の井上が本調子でない中、多彩な変化球を持つ河村が奮闘した。全6試合に登板し、26回3分の1を投げ、7失点、イニング数を上回る27三振を奪った。日大三は今春のセンバツで三重に0-8で初戦敗退。夏に向けてチームを作り直し、西東京大会では6試合中4試合で逆転勝ち。粘りを搭載した強豪が、甲子園で春夏通算50勝の底力を見せる。

 春夏通じて初出場の折尾愛真は主将の“ゴジラ松井”に期待。身長191センチ、88キロと恵まれた体格から高校通算40本塁打を放った松井義弥は、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏に姿がダブリ「福岡のゴジラ」との呼び声がある。北福岡大会では打率3割2分、1本塁打、6打点をマークしたが、聖地でバットが火を噴くか。

 チーム打率は3割4分7厘で圧巻は本塁打数。6試合で10本塁打を含む67安打で55得点。本塁打数は星稜(石川)に並び今大会出場校中1位タイ。決勝では両チーム合わせ29安打の打撃戦を制した。1番長野は打率4割6分4厘、18打点、3本塁打、5番野元は打率4割8分、13打点、6本塁打と“福岡のゴジラ松井”を上回る猛者がズラリ並ぶ。

 投手陣は165センチの小野ら6投手で勝ち上がったが、甲子園でも継投のタイミングが1つのポイントか。折尾愛真が全国屈指の強力打線で甲子園初勝利を目指す。

◆日大三のおもなOB ヤクルト近藤一樹、阪神高山俊

◆折尾愛真のおもなOB 阪神小野泰己、J2徳島・島屋八徳

 

【第3試合(14:30) 羽黒(山形)-奈良大付(奈良)】

 15年ぶり2度目出場の羽黒が、夏初勝利を目指す。山形大会は5戦8本塁打。準決勝、決勝はいずれもサヨナラ本塁打で締めた。決勝でサヨナラ弾を放った4番竹内とチームトップの9打点を稼いだ5番藤沼はいずれも3本塁打。1番鈴木は切り込み隊長として打率4割7分6厘の結果を残した。チームは打率3割3厘と高くはないが、高数字を残したキーマンのバットが鍵を握る。

 同大会は3投手で勝ち上がってきた。篠田は最速145キロの速球と多彩な変化球が武器で16回3分の2を投げ2失点と安定している。最速148キロを計測した佐藤は、17回を投げて20奪三振。左横手投げの金子は左打者5人をそろえる奈良大付打線の脅威となりそうだ。

 夏初出場の奈良大付は春夏通じて初勝利を目指す。奈良大会のチーム打率は、今大会出場校トップの4割5分8厘。レギュラーメンバー全員の打率が3割以上で、1番宮川の打率5割4分5厘を筆頭に6番まで打率4割超え。5試合計54得点(1試合平均10・8点)の打線は“かなりヤバイ”。決勝でも2年連続で天理と対戦し、昨夏1-2で苦杯をなめたが、今年は延長戦の末、10-9で打ち勝った。エース木村は決勝で天理に9失点したが、延長11回まで投げ抜くスタミナには自信がある。投手力の羽黒か、半端ない打線の奈良大付か注目だ。

◆羽黒のおもなOB 元ヤクルト佐藤賢、巨人田中優大

◆奈良大付のおもなOB 元横浜八馬幹典、元オリックス歌藤達夫