済美(愛媛)の中矢太監督(44)が11日、因縁の星稜(石川)戦を翌日に控え、心境を語った。明徳義塾出身の中矢監督は92年夏の甲子園で社会問題となった「松井の5敬遠」のメンバー。背番号「3」で、星稜戦では三塁コーチと伝令役を務めた。高校卒業後は専大に進み、03年に済美のコーチに就任。上甲正典監督(享年67歳)のもと、指導者として経験を積んだ。練習試合で星稜との対戦はあるが、甲子園では自身初対決となる。

 「学校が違うので、選手にプレッシャーをかけるつもりはない。普通にやってくれたら…」と前置きした上で、「僕個人としては、いろんな思いがある。あのユニホームを甲子園のグラウンドで見られて、試合ができるのは、個人的にはうれしい」と話した。

 中矢監督は対戦前の状況を26年前と重ね合わせた。「当時も今年もそうだが、相手は優勝候補だし、うちは力がないチームだと思っている。そこを何とかやるのが醍醐味(だいごみ)だと思っている」。石川大会決勝では星稜の4番南保良太郎(3年)と5番竹谷理央(3年)が合計7本の本塁打を放った。強力打線をエース山口直哉(3年)がいかに封じるかが鍵を握る。「4、5番が決勝で7本も本塁打を打つ打線。そういう状況で、1つでも敬遠しようものなら…。僕が腹を決められるかどうか」と苦笑まじりに話した。

 今回の対戦が決まった時、恩師の馬淵監督は「済美の監督は教え子なんや。どうなるんやろ? 楽しみやな」と話していた。26年後の因縁の対決は、どんなに結果を迎えるのか。「四国を代表する馬淵監督、亡くなられた上甲監督という偉大な監督のものでやらせてもらった。かなりの影響を受けている。粘りを試合で生かすことができたらいい」と意気込んだ。