第100回全国高校野球選手権記念大会は、第10日の2回戦3試合が行われる予定で、連覇を狙う花咲徳栄(北埼玉)やプロ注目右腕の吉田輝星投手(3年)を擁する金足農(秋田)が登場する。

 元球児による「レジェンド始球式」は高知商OBの中西清起氏が務める。甲子園は78年夏、79年春、80年春夏と4度出場。水島新司氏の漫画にちなんで「球道くん」のニックネームで親しまれ、78年夏は準優勝、80年春はエースとして優勝の立役者となった。卒業後は社会人野球を経て、83年ドラフト1位で阪神入り。守護神として85年の日本一に貢献した。

 

<見どころ>

【第1試合(9:30) 常葉大菊川(静岡)-日南学園(宮崎)】

 常葉大菊川は、勝てば13年以来5年ぶりベスト16入り、節目の夏10勝目を目指す。今大会の1回戦・益田東戦では、4回まで5点リードも一時逆転され、8回に再逆転し競り勝った。先発したエース漢人は7回途中7失点だったが、どこまで状態をあげられるか。リリーフした2枚看板の1人、サウスポーの榛村は2回3分の2を無失点。ともに先発完投能力のある2投手だが、どちらを先発させるか。

 打線の注目株は地方大会で打率トップの打率8割1分8厘を誇る1番奈良間だ。益田東戦でも1発を含む5打数2安打2打点の4割発進。日南学園戦でも「8割男」の本領発揮なるか。

 日南学園は、勝てば16年以来2年ぶりのベスト16入り、こちらも節目の夏10勝を目指す。また、宮崎県勢春夏通算70勝目もかかっている。07年夏に3回戦で常葉学園菊川(当時)と対戦し8回に3点リードを追いつかれ、延長10回3-4でサヨナラ負け。11年ぶりの再戦で雪辱なるか。

 投げては、多彩な変化球を誇るエース辰巳が、チェンジアップを武器に丸亀城西打線を完封シャットアウト。打たせて取るタイプの辰巳は99球の省エネ投球で乗り切った。スローカーブが武器の庄田、ストレートにキレがある原、辰嶋の登板も十分ある。打線は、2番坂元、3番蓑尾(1安打)、4番門川(2安打)のバットに期待。

◆常葉大菊川のおもなOB DeNA田中健二朗、広島桑原樹

◆日南学園のおもなOB ソフトバンク寺原隼人、広島中崎翔太

 

【第2試合(12:00) 金足農(秋田)-大垣日大(岐阜)】

 金足農は、勝てば95年以来23年ぶりのベスト16入り、春夏通算10勝を目指す。1回戦はエース吉田輝星が、鹿児島実打線に9回9安打1失点、14奪三振の力投。球速も最速148キロを計測した。走者を背負った場面と走者なしで速球に緩急をつける。打者の手元でホップする直球は超高校級。元ロッテのサブロー氏は阪神藤川球児を彷ふつさせる浮き上がる速球と絶賛。吉田が「火の玉ストレート」で再び奪三振ショーを演じるか。

 金足農打線も好調で初戦12安打5得点。1番打者の菅原天空(たく)の「天空」は宮崎駿アニメ「天空の城ラピュタ」に由来する。「大きく伸びやかに羽ばたいてほしい」(父天城コーチ)と“たく”された親の願いを胸に、菅原は5打数2安打2打点の大活躍。1回戦4打数無安打に終わった2番佐々木大夢主将だが、地方大会ではチームトップの打率5割3分8厘。1、2番の出塁が鍵を握る。

 大垣日大は、勝てば07年以来11年ぶりのベスト16。阪口慶三監督は、東邦時代(愛知)と合わせ監督通算39勝目を目指す。1回戦(対東海大熊本星翔)は2点ビハインドの4回に7番堀本の満塁本塁打で逆転した。5番小野寺は2本塁打を含む3安打4打点と大暴れ。犠打、盗塁も絡め、大技、小技で加点する阪口監督の采配にも注目。

 両校は過去1度、07年夏の1回戦で対戦しており、大垣日大が2-1で金足農に勝利した。金足農はリベンジを果たせるか。

◆金足農のおもなOB ヤクルト石山泰稚、元中日小野和幸

◆大垣日大のおもなOB 中日阿知羅拓馬、元阪神曽我部直樹

 

【第3試合(14:30) 花咲徳栄(北埼玉)-横浜(南神奈川)】

 昨年覇者の花咲徳栄は、勝てば2年連続ベスト16、埼玉勢では夏通算70勝目となる。1回戦(対鳴門)は序盤1-4とリードを許す苦しい試合展開となったが、終盤2イニングで6点を奪って逆転した。プロ注目のエースで4番、野村が投打の軸。1回戦は9回5失点完投も立ち上がりが鍵か。バットでは昨夏以来となる高校通算57号を放つなど5打数2安打3打点と好調。花咲徳栄打線も先発全員13安打を記録するなど状態も良い。横浜の及川、板川の強力投手陣を打ち崩せるか。

 横浜は、勝てば高浜祐仁(現日本ハム)浅間(現日本ハム)を擁した13年以来5年ぶりのベスト16入り。1回戦(愛知産大三河)はエース板川が8回4安打無失点、及川も1回1安打無失点で完封リレー。2枚看板の状態も上々。打線も好調で初戦は斉藤、河原木、内海が本塁打を放つなど毎回の12安打7得点を奪って快勝した。プロ注目の4番万波は4打数無安打となったが、大一番で主砲のバットに勢いが戻るか。

 優勝候補同士の対戦だが、埼玉と神奈川は過去4度対戦し神奈川の3勝1敗(センバツは対戦なし)。直近では15年夏の準々決勝で、全国制覇した東海大相模が、花咲徳栄を4-3で下している。

◆花咲徳栄のおもなOB 広島高橋昂也、中日清水達也

◆横浜のおもなOB 中日松坂大輔、DeNA筒香嘉智