第100回全国高校野球選手権記念大会は、第11日の2回戦4試合が行われる。オリックス西の親戚で、大会屈指の2年生右腕・西を擁する創志学園(岡山)や日大三(西東京)、龍谷大平安(京都)など強豪校が登場。この日でベスト16が全て出そろう。

 元球児による「レジェンド始球式」では沖縄(現沖縄尚学)OBの安仁屋宗八氏が務める。3年夏の62年にエースとして南九州大会を勝ち抜き甲子園出場。第40回記念大会に出場した58年夏の首里をのぞき、沖縄勢として初めて実力で夏の甲子園出場を果たした。卒業後は社会人野球を経て、64年に初の沖縄出身プロ野球選手として広島に入団。阪神に移籍した75年に最優秀防御率のタイトルを獲得するなど通算119勝を挙げた。

 

<見どころ>

【第1試合(8:00) 下関国際(山口)-創志学園(岡山)】

 下関国際は山口県勢春夏通算110勝目を目指す。今大会1回戦・花巻東戦は全て単打で13安打を浴びせ延長10回を制した。打線のカギを握るのは花巻東戦で無安打に終わった4番鶴田。県大会で打率5割2分4厘、11安打中9本の長打を放った打撃が「コツコツ打線」に加われば、勝利への道が開ける。

 創志学園は大会屈指の2年生右腕・西の投球に注目だ。創成館との1回戦では毎回の16奪三振、4安打無四球で完封。最速149キロを記録した力強い直球と大きく縦に曲がるスライダーを武器に、帽子を飛ばし、派手なガッツポーズで雄たけびを上げる感情むき出しのスタイルで躍動した。再び快投が見られるか。

 春夏通じて初となる山口県勢と岡山県勢の対決。ともに初のベスト16入りをかける。

◆下関国際のおもなOB ロッテ宮崎敦次、東農大北海道・市丸貴大

◆創志学園のおもなOB 巨人高田萌生、日本ハム難波侑平

 

【第2試合(10:30) 興南(沖縄)-木更津総合(東千葉)】

 興南は勝てば15年以来3年ぶりベスト16入り。土浦日大との1回戦は打線が15安打を放ち6得点。投げては先発藤木が7回まで1失点。その藤木が2点リードの8回に無死満塁のピンチを招くと、2番手の2年生宮城が無失点で切り抜ける好投を見せ継投がはまった。沖縄勢は千葉勢と夏に過去4度対戦し全勝。1回戦に続く関東勢撃破で九州勢最後の砦を守れるか。

 木更津総合は勝てば16年以来2年ぶりベスト16。敦賀気比との1回戦を12安打10得点で大勝した。こちらも先発野尻が8回途中まで1失点。2番手根本が得点を許さなかった。県大会で背番号1をつけた白井、同じく県大会で5試合に登板した篠木も控える投手力には自信を持つ。

 ともに打線好調。互いに継投で勝ち上がり、投手交代のタイミングもポイントとなりそうだ。

◆興南のおもなOB ソフトバンク島袋洋奨、ボクシング元世界王者具志堅用高

◆木更津総合のおもなOB 楽天与田剛コーチ、DeNA井納翔一

 

【第3試合(13:00) 日大三(西東京)-奈良大付(奈良)】

 日大三は、勝てば2度目の全国制覇となった11年以来7年ぶりのベスト16。東京勢春夏通算300勝目も懸かる。1回戦(対折尾愛真)は強力打線が爆発し先発全員15安打の16得点で圧勝した。打線には自信を持つ奈良大付との打撃戦も予想される。投手陣はエース中村が4回1失点、多彩な変化球を操る河村が5回2失点と上々のスタート切った。140キロ台後半の速球を誇る大型右腕広沢も腕ぶす。予選は故障で登板なしに終わったが、最速147キロのU18日本代表候補・井上の状態はどうかが気になる。

 奈良大付は勝てば初のベスト16入り。1回戦(対羽黒)はエース木村が9回8安打1失点で完投勝利。145キロ前後のストレートと120~125キロ台の縦のスライダーを武器に強打の日大三相手をどこまで封じられるか。田中一訓監督は大体大時代に巨人上原浩治投手とバッテリーを組んだ。終戦記念日が偶然45回目の誕生日となる田中監督が上原ばりの「雑草魂」で勝利に導けるか。

 東京勢と奈良勢は春夏通じて過去18度対戦し、9勝9敗の五分。

◆日大三のおもなOB ヤクルト近藤一樹、阪神高山俊

◆奈良大付のおもなOB 元横浜(現DeNA)八馬幹典、元オリックス歌藤達夫

 

【第4試合(15:30) 龍谷大平安(京都)-八戸学院光星(青森)】

 1回戦の勝利で春夏100勝に到達した龍谷大平安は、勝てば03年以来15年ぶりベスト16入り。チーム100勝の次は京都勢夏120勝目が懸かる。1回戦(対鳥取城北)は2番安井のサヨナラ打で接戦を制した。打線は7安打3得点と苦戦したが、京都大会ではチーム打率4割5分7厘。4番松田主将が4打数無安打と本来の実力を発揮できなかったが、初戦の力みも抜け強力打線に火が付くか。投手陣はエース小寺が8回途中2失点、北村智は好救援で無失点と状態も良い。

 八戸学院光星は勝てば14年以来4年ぶりベスト16入り。青森県勢春夏通じて60勝も懸かる。1回戦(対明石商)は12安打9得点の打撃戦で延長戦を制した。1番近藤は5打数4安打1打点、2本塁打を放った4番東は5打数3安打4打点と好調でキーマンとなる。投手陣はエース福山は5回5失点も味方の失策もあり自責1。初戦は最大6点リードを追いつかれたが、青森大会で失策1の強固な守りでバックも盛り立てたい。強力打線の平安相手にブルペンも総動員が予想される。

 センバツでは14年と16年に両校がいずれも2回戦で直接対決し平安の2勝0敗。八戸学院光星が“攻勢”をかけられるか。

 京都勢と青森勢では夏に過去3度対戦し京都勢の2勝1敗。直近では69年太田幸司投手を擁した三沢が平安に2ー1で勝利。

◆龍谷大平安のおもなOB 元広島衣笠祥雄、元阪神桧山進次郎

◆八戸学院光星のおもなOB 巨人坂本勇人、ロッテ田村龍弘