第100回全国高校野球選手権大会の決勝で、金足農(秋田)が大阪桐蔭(北大阪)に2-13で敗れ、悲願の東北勢初優勝はならなかった。

 秋田県大会から9人でプレーしてきた「カナノウナイン」。全国に多くの感動を呼んだ選手たちの決勝戦終了後の声を集めた。


1番・菅原天空 送球ミス悔やむ

 今大会3本の三塁打を放ち、1大会最多記録にあと1と迫っていたが、決勝では無安打に終わった。学校では吉田以上の女子人気だが「1点ずつでは追いつけない点差になってしまった」。自身の送球エラーから始まった4回の3失点を悔やんだ。

金足農対大阪桐蔭 金足農1番打者の菅原天(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農1番打者の菅原天(撮影・横山健太)

2番・佐々木大夢 主将業では圧倒

 3回に右犠飛で1点を挙げた。「バントでつないでくれて、いい流れだった。走者をかえすことだけを考えた」。好きな言葉は「圧倒」。試合は圧倒されたが「大阪桐蔭に全力でぶつかれた」。バセドー病を乗り越えた主将業では他校を圧倒した。

金足農対大阪桐蔭 金足農2番打者の佐々木大夢(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農2番打者の佐々木大夢(撮影・横山健太)

3番・吉田輝星 今後で取り返す

 5回12安打12失点、秋田大会から10戦連続で完投していたが、初の途中降板となった。試合後のお立ち台では「いずれはプロに行きたい」と宣言。続けて「この準優勝は今後の野球人生で取り返したい。一番最高なのは、またプロで対戦して抑えたい」。甲子園で投じた881球は、100年後の未来にも語り継がれる。

金足農対大阪桐蔭 力投する金足農先発の吉田(撮影・足立雅史)
金足農対大阪桐蔭 力投する金足農先発の吉田(撮影・足立雅史)

4番・打川和輝 気持ちぶつけた

 限界だったエース吉田を引き継ぎ登板。3回を3安打1失点に抑え「悔しいマウンドでしたけれど、気持ちをぶつけて投げられました。三振をとれたのも幸せでした。悔いはありません」と胸を張った。4番としての打撃でも2安打を放った。「銀メダルと甲子園の土は家の玄関に飾ります」。主砲として堂々と秋田に帰る。

金足農対大阪桐蔭 6回から2番手で登板し力投する金足農の打川(撮影・足立雅史)
金足農対大阪桐蔭 6回から2番手で登板し力投する金足農の打川(撮影・足立雅史)

5番・大友朝陽 歴史塗り替えた

 2犠打を成功させ「カナノウ」の持ち味を大阪桐蔭にぶつけた。大垣日大戦では勝ち越し本塁打も放ち「努力の結果。誇りに思う。歴史を塗り替えたことに満足しています」。吉田と披露してきた「侍ポーズ」の刀を、さやに収めた。

金足農対大阪桐蔭 金足農5番打者の大友(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農5番打者の大友(撮影・横山健太)

6番・高橋佑輔 気持ちいい三振

 2安打を放つも得点には結びつかず、最後の打席では三振に終わった。「大会を通して自分らしくフルスイングができた。最後も気持ちのいい三振」と笑顔。秋田の自宅に帰り、悩みを聞いてくれる熱帯魚グッピーに準優勝を報告するつもりだ。

金足農対大阪桐蔭 金足農6番打者の高橋(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農6番打者の高橋(撮影・横山健太)

7番・菊地彪吾 一生の宝物です

 無安打に終わったが「しっかり守れた」と胸を張った。大垣日大戦では背中にセミをつけたまま三塁打を放ち、愛称は「セミ」に急変。「負けた時は悔しかったけれど、一生の宝物ができた。充実感でいっぱいです」と“ミ~ン”なに感謝した。

金足農対大阪桐蔭 金足農7番打者の菊地彪(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農7番打者の菊地彪(撮影・横山健太)

8番・菊地亮太 帽子つばに吉田

 吉田の球を受け続けた女房役は「ここまで来られたのは吉田のおかげ」と感謝した。前夜も2人で「優勝して歴史を塗り替えよう」と誓い、試合前には帽子のつばに「伝説の男#1吉田輝星」と記された。「9人が役割を果たした」と胸を張った。

金足農対大阪桐蔭 金足農8番打者の菊地亮(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農8番打者の菊地亮(撮影・横山健太)

9番・斎藤璃玖 感謝のヘッスラ

 3回に四球を選び、佐々木主将の右犠飛で1点目のホームを踏んだ。豪快なヘッドスライディングに「観客の声援が雰囲気を高めてくれた」と感謝。危険物取扱者の資格を持つが、甲子園ではバントや遊撃の守備で“危険人物”として取り扱われた。

金足農対大阪桐蔭 金足農9番打者の斎藤(撮影・横山健太)
金足農対大阪桐蔭 金足農9番打者の斎藤(撮影・横山健太)

東北初Vの夢散るも、カナノウ・ナイン感動ありがとう!

金足農対大阪桐蔭 準優勝となった金足農の吉田(中央)は笑顔と涙が入り交じったような表情を見せる(撮影・足立雅史)
金足農対大阪桐蔭 準優勝となった金足農の吉田(中央)は笑顔と涙が入り交じったような表情を見せる(撮影・足立雅史)