日本文理(新潟1位)は東海大諏訪(長野3位)に1-2の手痛いサヨナラ負けをした。0-0の3回2死二塁に主将の長坂陽遊撃手(2年)が先制の右前適時打を放ったが、7回に追いつかれる展開。1-1で迎えた9回2死二塁の守備では堅守・長坂の送球エラーで勝敗が決着した。20、21日の大会後半を残して地元の県勢4校はすべて姿を消し、来春のセンバツは絶望的になった。

1時間56分の試合の幕切れは、あっけなかった。歓喜の瞬間を、失策で相手に与えた。1-1と同点で迎えた9回2死二塁の守備。遊ゴロを処理した堅守の長坂が、まさかの送球ミスだ。「大事にいった」と言う送球は、逆に余分な力が入ったのか。中田龍希一塁手(1年)の構えるファーストミットから右にそれ、二塁走者の生還を許した。「こういう形で試合を崩してしまった。本当に申し訳ないです」。サヨナラ負けの責任を背負い込んだ主将は、涙だった。

試合序盤に日本文理のゲームプランは1度、崩れかけた。先発のエース南隼人投手(2年)が、2回を無安打1四球、3三振の好投をしながらマウンドを降りた。前日13日の1回戦小松商(石川)戦で5回パーフェクト投球を演じたエースの突如の降板。鈴木崇監督(38)は「球を握る力が入らなくなった。原因は分からない。これは検査次第」と説明する。そんな緊急事態に陥りながらも、3回2死二塁に長坂が先制の右前適時打。先手を取ったのは日本文理だった。

ところが追加点が遠かった。4回は2死満塁の好機をつぶした。攻撃が足踏みを繰り返す間に7回に追いつかれ、9回にはサヨナラを食らった。「夏も(16強で)早く負けた。負ける怖さを何度も味わってきた。もう負けたくない」と長坂は言った。

準々決勝敗退で日本文理が狙っていた5年ぶりのセンバツ出場は消滅した。対戦した東海大諏訪は長野3位の相手だった。鈴木監督の言葉には深刻度の大きさを示していた。「全力を出し切る前に、地力をつけなくてはいけない。勝負の夏に向けて地力を、もうちょっと。その“もうちょっと”は例年以上にある」。悔しさを味わった敗戦から日本文理の奮闘は始まる。【涌井幹雄】

◆センバツ出場枠 来春の第91回選抜高校野球大会の出場校は32校。一般選考28校の地域別の内訳は北海道1、東北2、関東・東京6、北信越2、東海2、近畿6、中国・四国5、九州4。ほかに21世紀枠が3校、神宮大会枠が1校。県勢は14年の日本文理以降、センバツから遠ざかっている。