今月から元南海の大久保学監督(54)を新監督に迎えた如水館が広島新庄を下し、夏のシード権を手にした。

初回1死から失策を含む5連打で2点を献上。3点にも1点を追加されたが、終盤から反撃に出た。1点を追う7回、4番山下尚捕手(3年)が今秋ドラフト候補の相手先発・桑田孝志郎投手(3年)から適時打を放ち同点。8回2死満塁で2番尾崎憲悟内野手(3年)が、球が高めに浮きつつあった桑田を捉え、右前適時二塁打で勝ち越した。 投げては1回途中から登板した橘高(きったか)隼投手(3年)が要所を締める投球で8回1/3を3安打1失点。投打がかみ合い、ベスト8入りを決めた。

大久保監督の予言通りになった。試合前選手たちに「5対3のゲームになる」。その通りの結果となり選手たちは「ほんまに5対3じゃ!」とベンチ内で大盛り上がり。2回戦の広陵戦も同スコアでの勝利。「打線は5点を取る打線。投手が3点で抑えれば勝てるチーム。試合を重ねていくうちに1つになって気持ちのつながりを持っている」と目を細めた。

伝統校のユニホームにはまだ袖を通したばかりの大久保監督。静岡高校時代は3年時にエースで4番として甲子園に出場。82年にドラフト2位で南海に入団し、88年に現役引退。16年4月から3月末までオイスカ(静岡)で監督を務めた経歴を持つ。

就任依頼の話が来たのは2月。如水館は昨秋、前監督の迫田氏が3月末を持って退任と決定。一時はエースなど2人が退部し、40人以上いた入部希望者は3人に減る状況に陥った。「自分が甲子園に出て感動した思いを伝えたいと。妻も広島出身。そういうタイミングなのかなと」。前任校に別れを告げる際は涙にぬれた。「みんな号泣。私も号泣でした」。決意して静岡を離れた。

就任のタイミングで一新されたコーチ陣とは毎日話し合いも重ねる。「迫田さんの伝統が強い。守りのイメージがありましたが意外と打撃のチーム。要所要所で守備の大事さも伝えていきたい」。

初戦で広陵、3回戦のこの日は広島新庄と次々強豪校を撃破。「(春季大会の)やぐらを見てギャグかなと思いました。こういう状況の中よくやってくれている」と目を細めた。

選手たちとはまだ手を取り合ったばかり。この春は10人の新入部員も迎えた。「楽しみです。ポテンシャルが高い。夏(上を)狙えます」。名門の看板を背負い、タクトを振る。