春夏通算39度の甲子園出場を誇る仙台育英(宮城)に、将来性豊かな1年生投手9人が新戦力に加わった。

186センチ、94キロと恵まれた体格の左腕・千葉倖生は、伸びしろではNO・1。小学校まではマーチングパーカッションでドラムに熱中し、中学から野球に本格転向して強豪の門をたたいた。昨夏の中学全国総体で準優勝した秀光中(宮城)からは、ともに最速140キロ超を誇る右腕・伊藤樹、左腕・笹倉世凪の剛腕コンビが加入し、日本一の投手陣形成の一翼を担う。

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夢の世界に飛び込み、夢を実現させる1歩を踏み出した。投手陣最長身の千葉は「2年後の夏には最速150キロ以上を出せるようになって、日本一になりたい」。24日、宮城・多賀城市内の同校グラウンドで行ったベースランニングのタイム測定では巨体を揺らして、懸命に走った。「野球をやるための基礎や、体の使い方が出来ていないと思っています。1つ1つの練習を積み重ねて、少しでも早くベンチ入りできるようにしたい」。心技体すべてのレベル向上に挑む。

小学時代にマーチングパーカッション技能検定3級を取得するリズム感の持ち主でもある。得意な楽器はドラム。「野球もやりたかったのですが、地元のチームが強くて両立が難しかったので、中学からと決めました」。週末はスティックをバットに持ち替え、父が所属する草野球チームで“両立”。くまのプーさんのような愛らしさで「好きな曲はディズニーメドレー。ミッキーマウスが一番好きです」。夢の国での主役同様、マウンドでも主役となるつもり。須江航監督(35)も「素材はすごいものがある。プロを狙える左腕に育てたい」と期待を寄せる逸材だ。

中学硬式野球で東北準優勝となった右腕・中村和寛も「東北勢初の優勝旗をつかみます。155キロ以上投げたい」と意気込む。楽天シニアで宿敵だった中川泰雅投手(山梨学院1年)との全国舞台で再戦も誓った。同3位経験の右腕・吉野蓮は内野手との二刀流でレギュラー獲得に挑む。「150キロと高校通算50本塁打以上」と言い切った。

20日には宮城県大会中部地区予選初戦を快勝。29日から再開し、春は東北王者を狙う。昨夏の甲子園も経験したエース右腕・大栄陽斗(3年)ら強力投手陣の戦力に加わる1年生の挑戦が始まった。【鎌田直秀】

▽渡辺優人 「(日本ハム)吉田輝星投手のような球のキレとコントロールで勝負したい」

▽松田隆之介 「世界中の注目を浴びる選手になりたい」

▽渡辺達也 「ストレートと変化球の使い分けをしっかり出来る投手になりたい」