日本高野連が20日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から「第102回全国高校野球選手権大会」の中止を決めた。夏の甲子園大会中止は戦後初めて。芸能界などで活躍する元高校球児や野球愛好家らから、夢を見失った球児たちに激励やエールの声が多数届いた。

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▽渡辺元智氏(横浜高元監督) 中止が決まり、奈落の底に突き落とされた球児もいると思う。私もなかなか言葉が出てこない。今、彼らを救えるのは指導者の適切な助言であり、両親の愛情ある励ましではないだろうか。可能なら、ミニ甲子園なのか、県単位の大会なのか、何かしてあげられたらと願う。

同時に、頑張ってきた球児たちだからこそ、できることがあると思う。医療従事者の方々。ごみ収集の方々。この社会を成り立たせるために尽力されている人たちに、全国の球児が手をつなぎ、何かメッセージを送ることができるはずだ。球児は多くの応援を受け、ここまで来ることができた。国難の中、今度は恩返しの番。現場で大変な思いをされている皆さんに「頑張って下さい」という気持ちを送る時ではないだろうか。若い彼らには立ち上がる力がある。

センバツから中止が続き、希望を失った球児もいるだろう。だが、今こそ目標を持ってほしい。私も若い頃、挫折を味わい、自暴自棄になった時もあった。ただ、そこから指導者の道が開けた。甲子園はなくなっても「野球」ということを忘れなければ、やってきたことは決して無駄にはならない。プロを目指しているなら、大学からでも、社会人からでも、軟式からでも行ける。子どもたちに教える道もある。

「少年よ、大志を抱け」はクラーク博士の言葉。そういう気持ちでいれば、必ず生きる喜びが生まれる。自分自身に明るい光をともしてくれる。そう信じている。