神奈川県の黒岩祐治知事(65)は3日、中止となった今夏の高校野球選手権に代わる県独自の大会について「応援したい」と、開催を後押しする考えを示した。

湧永寛仁日本ハンドボール協会会長(47)、石川巧神奈川県議会議員(47)らが県庁に黒岩知事を訪問。独自大会の開催を求める署名約7300筆と、県内の高校球児から知事に宛てた直筆の手紙約300通を手渡した。

湧永会長は「同じスポーツ。応援したい気持ちは同じ」と、競技の枠を超えて訪問。「野球だけでなく、多くのスポーツで夏の大会が中止になりました。原因はコロナで致し方ないが、最後の試合を設けられたら」と訴えた。

黒岩知事は手紙に目を通した後、「重いメッセージです。甲子園中止と聞いて衝撃を受けました。私は、もともと神戸出身なので、なじみのある場所。球児にとって、どれだけ重みのある場所か。日本の将来のスポーツ界にとっても、大きなダメージ」と応じた。

さらに、新型コロナウイルスの感染状況は、まだまだ油断できないことを強調した上で、「何かできないか、ずっと考えています。甲子園は、とても間に合わないが、せめて県の中だけでできないか、考えていきたい。県内大会なら、宿泊しないでできるのでは。選手の安全・安心がなにより大事。十分、配慮した上で、皆さんのやりたいという気持ちがある。応援したい。野球に限らず、さまざまなスポーツについても同じ考えです」と続けた。

神奈川県高野連は県独自の大会開催について検討を続けている。ただ、県教育委員会が5月22日に示した県立学校へのガイドラインに従うと、8月末まで部活動は校内で自校生徒のみでしか行えない。黒岩知事は「教育委員会のご判断もあるでしょうから、私から話しておきたい」と、アシストを約束した。

訪問を終えた湧永会長は「知事が子どもたちのために、最後の大会へ前向きになってくれた。力強さを感じた」と喜んでいた。