福岡県高野連は12日、福岡市内で常任理事会を開き、独自の代替大会を断念する方針を一転し、開催することを決めた。5月25日に全国で唯一、開催断念を発表したがその後、国や県が開催を後押し。球児を取り巻く大きな環境変化に伴い、方針転換に至った。歓迎の声が多い一方で、引退した選手もおり、高野連はドタバタを謝罪。試合は7月18日から8月上旬の土日祝日を軸に、4地区に分けて、原則無観客で実施する。

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福岡県高野連が一転、夏の代替大会開催を表明した。全国で唯一、不開催を発表していたが、福岡にも球音が鳴り響く。

県高野連は新型コロナウイルス感染拡大で夏の甲子園大会と地方大会の中止を受け、5月22日の理事会で代替大会の開催を協議。消毒液の確保や感染防止マニュアル作成など準備を進めたが、感染リスクを払拭(ふっしょく)できないことなどから開催断念を発表した。

だがその後、国のサポート表明などで球児を取り巻く環境が大きく変化。今月に入り、県教育委員会から開催要請も受けた。野口敦弘理事長(58)は「高野連単独での責任と言いますか、医療や学校の授業とかに対する責任だったり、1歩踏み込めないもどかしさがあった。(県教育委員会に)背中を押していただかなければ、一歩踏み出せなかったのは事実」と説明。県高野連主催、県教育委員会共催で行うことも明かした。

一方で、すでに引退した部員もいる。土田秀夫会長(59)は「先の決定を翻したことで野球部員、特に3年生に対しては、何度も決定のたびに気持ちを惑わしてしまい、心からおわび申し上げます」と謝罪した。

再検討にあたり、土田会長と野口理事長は、各校の現状把握のため、福岡、筑後、北九州、福岡中央の4地区を訪問するなどして情報を収集。その中で、指導者は「もうすでに引退した生徒もいる。今更困る」「我々でここまで計画を進めています」「代替大会を開いていただけるならありがたい」など反応はさまざまだった。北九州市で一時感染が再拡大するといった不安も残る中、一本化を断念。感染リスク抑制も踏まえ、4地区分離の公式大会という苦渋の決断となった。

今月5日には、福岡地区に所属する福岡大大濠や筑陽学園などの監督有志が立ち上がり、福岡市や近郊の33校による「福岡地区高校野球交流戦」を7月11日から行うと発表したが中止となる見込み。日程は7月18日から8月上旬の土日祝日で検討中。控え部員や保護者入場は認める方針だが、原則無観客。ドタバタを経て、3年生に集大成の舞台を準備する。【菊川光一】