世代屈指の最速154キロ右腕、中京大中京(愛知)の高橋宏斗投手(3年)が6日、名古屋市内の同校で会見し、プロ志望届を提出することを表明した。当初は慶大進学を希望したが、AO入試で不合格となり「小さいころからの夢だった」とプロ志望に切り替えた。26日のドラフト会議では1位候補。3週間を切っての決断を受け、戦略を練り直す球団も出てきそうだ。

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制服姿の高橋は「落ち込んでいても何も変わらないので、しっかり次の目標に向かって進もうと思うようになりました」とプロ志望へ気持ちを切り替えた。午前に慶大から不合格の連絡を受けた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入試は例年のような面接はなく書類選考のみだった。「そこ(試験)からは野球に重きを置いた」。受験後はほぼ毎日チームの練習に参加。次のステップに向け下半身を鍛え、低めに強い球を投げられるよう励んでいる中、決断の日となった。

慶大の投手だった兄伶介(れいすけ)さん(23)からは「それが自分に一番合った選択だと思ってやれ」とメールが届いた。高橋が進学志望していたのは慶大の環境情報学部。理由は「野球の競技人口の減少が問題となっている中で、自分自身の中で解消法があると考え、進学して研究してみたい」からだった。ただ、その思いは舞台が違っても貫くという決意が固まった。「プロ野球選手がどんなトレーニング、練習方法をやっているのか動画などを当たり前のように見られる世界にしていきたい」。子どもたちやプロを目指す若者たちに、先頭となって情報発信するつもりだ。

最速154キロ右腕は8月の甲子園交流試合の智弁学園(奈良)戦で、10回3失点完投し、11三振を奪った。9回には153キロを計測した。切れのいいスライダーなど変化球も多彩でS評価をつけるスカウトもおり、ドラフト1位候補。希望球団を聞かれた高橋は「ありません」と12球団OKの姿勢を示した。右腕の決断がドラフト戦線に大きな影響を与えそうだ。【石橋隆雄】