勝って校歌を歌ったのは、智弁学園だった。大阪桐蔭の松浦、関戸ら強力投手陣を崩し、返り討ちした。

不安定な立ち上がりを攻めた。185センチの長身左腕、松浦対策を練っていた。練習では打撃マシンの下に15センチ~50センチの高さに調整可能の台を設置。さらに通常135キロの速度設定を10キロ増し、マウンドより前に設置するなど、角度ある速球の攻略を徹底してきた。成果は思惑通り。小坂将商監督(43)が「キーポイントになると思っていた」という初回、安打と四死球から好機をつくり、一挙4点を先制した。

まぐれでないことを証明した。昨秋の対決で7-3と圧勝も、インターネット上には心ない言葉がちらついた。「まぐれ」「大阪桐蔭の方が強い」…。そのたびに反骨心を覚えた。指揮官は「近畿大会で勝っても全国にはあまり届かない。なんとか食らいついて出来ればと思っていた」。昨秋を超える8得点での勝利。大きなヤマ場を制した。

エース西村やプロ注目の前川ら、1年時から甲子園の土を踏んできた選手たちにとって、今回が甲子園初勝利。聖地で近畿王者の自覚と自信を膨らませた。

▼智弁学園・西村(8回6失点で勝利投手に。甲子園で2勝した父基治さんと父子勝利)「お父さんの思いを背負って超したいと思います」

◆奈良県勢2校が初戦突破 天理に続き智弁学園が初戦突破。奈良県勢のアベック勝利は76、77年(ともに天理、智弁学園)に次いで44年ぶり3度目。