23日に組み合わせ抽選会が行われた全国高校野球選手権大会の福島大会。7月13日の開幕に向け、準備が進むが、東日本大震災や福島第1原発事故の影響で例年にない環境での大会となるだけに、福島県高野連も運営方針に頭を悩ませている。

 最も神経をとがらせているのが放射線対策だ。県高野連は専門家を招いて研修会を実施。毎時3・8マイクロシーベルトを超えた球場では当日の試合を中止する方針や、試合前のシートノックなどの時間を短縮することを決めた。

 試合途中に雨が降ってきた場合、県高野連の宗像治理事長(57)は「従来より早めに中断することもある」と話す。一方で「ゲーム展開もあるし判断が難しい」とも。試合再開には再度、放射線量の測定で基準をクリアすることが条件。選手が受ける放射線量を極力抑えるのが目的だ。

 会場の振り替えも余儀なくされた。自衛隊の拠点だった、いわき市の球場など2カ所を変更。メーン会場の郡山市開成山球場では、放射線量低減のため、市が表土を除去し、土を入れ替えた。球場を管理する市総合体育館の深谷仁館長(55)は「安全性を確保するため、できる限りのことをやる」と話す。市民らも観客席の除染活動を行った。

 宗像理事長は「その場になってみないと分からないことも多い。不安はあるが、これ以上悪くならないことを期待したい」と苦悩の表情で語った。