東日本大震災の影響により春季大会が中止された宮城では、震災後では初の公式戦開催となる。県高野連は「特別な大会」と位置付け、被災地域のチームが大会に支障なく参加できるよう、さまざまな支援を検討している。

 大会には加盟79校のうち、77校が参加。震災の影響による出場辞退はなかった。ただ、津波で施設が流されたり、校庭が仮設住宅で占拠され、ほかの場所での練習を余儀なくされたチームはある。県高野連の遠藤和秀会長は「苦しい状況で野球を続ける仲間がいる。物心両面で支援するということだ」と話す。

 県高野連は被害が大きかった気仙沼市や石巻市など沿岸部にある14校を「被災地校」と定義し、開会式と初戦が行われる球場への移動費として各10万円を支給する。公共交通機関や道路の乱れにより、移動が困難なことを考慮した。試合の開始時刻を調整し、前後に宿泊がないように配慮。それでも日帰りが難しい場合は、会場の近隣校が合宿所などの学校関連施設を提供し、宿泊場所として利用できるように各校で協力する。

 開幕は7月9日。震災から4カ月を迎える時期に、復興に向かう被災地の姿を、高校野球を通じて全国に伝えたいという思いが関係者にはある。遠藤会長は「いつまでも支援される立場ではいけない。高校球児が元気を発信し、復興の支えになる大会にしたい」と話した。