明大中野八王子(西東京)が、同校伝統の早出特打ちを復活させて初の全国選手権出場を目指す。今年は試合当日の朝、同校グラウンドに集合し、メンバー全員で打撃練習を行ってから球場入りすることを決めた。約10年前までは恒例行事だったが、最近では疲れを考慮して行われなくなっていた。発案者の石田高志監督(47)は、「最近は上まで勝ち進めていない。雰囲気を変えるためにやりたい」と効果を期待した。

 今年は「ノーヒットでも点を取れる野球」をテーマに掲げる。裏を返せば、打撃は例年ほどのパワーがない。勢いに乗ると頼もしいが、快音が止まると考え込む選手もいる。試合会場ではトスバッティング程度しかできないため、ミートの感覚に不安を覚える選手がいてもおかしくない。そんな心配性の選手たちの性格を見越して、石田監督が決断した。「まじめな選手が多いので、打ってから試合に臨めば自信につながると思います。体力のある選手が多いので、疲れは大丈夫でしょう」。2回戦までは「準地元」八王子市の上柚木公園球場で行われるため、移動の負担が少ないことにも救われた。

 チームの主軸、上西達也外野手(3年)は、石田監督の案に大賛成だ。「打ってから試合に行くのはいいですね。汗もかけるし、ウオームアップにもなりますから」。手に残る確かな感触を頼りに、初の甲子園を目指す。