<高校野球・春季北海道大会:函館工3-2函館商>◇21日◇函館地区代表決定戦◇函館オーシャン

 函館工が3-2のサヨナラ勝ちで函館商を下し、全道10地区のしんがりで代表に名乗りを上げた。9回裏、函館商守備陣の悪送球で決勝点を挙げ、2年連続15度目の円山切符を手にした。だが、試合内容に不満の残るナインに喜びは皆無。全道1回戦(28日)では、昨年の決勝で敗れた駒大苫小牧との対決が決まっている。危機感を募らせながら、残り少ない日々で「進化」を目指す。

 最後は敵失による棚ぼたの勝利だった。2-2で迎えた9回裏2死二塁で、函館工の弗田(ふつた)充裕捕手(3年)が右前打。走者は三塁で止まったが、右翼から捕手への返球が大きくそれ、三塁走者がホームインした。だがベンチを飛び出したナインから歓声は上がらない。淡々と整列して試合を終えた。

 函館大有斗、知内と地区の強豪を次々と下してきた古豪が、代表決定戦で思わぬ苦戦を強いられた。先取点を奪い、追加点を挙げ、順調なら2-0で勝っているべき試合が、7回に3連打を浴びて同点に。打線は昨夏もレギュラーで出ている1番の若本順平、3番の林陵司(ともに3年)がブレーキとなり13残塁の拙攻。勝利後のベンチにはまるで敗者のような重々しい空気が漂った。

 やはり昨年、駒大苫小牧の強さを体験している弗田は「展開的には負け試合だった。このままだと間違いなく5回(コールド)で帰ることになる」と危機感を募らせた。投打の要の選手を名指しで苦戦の因に挙げたほどだ。無安打に終わった林は「チームに迷惑をかけた。何て自分はアマいんだ」と涙した。

 だが、このままでは終われない。幸い、函館工には「円山で成長する」という伝統がある。昨春も小早川賢輔監督(50)が「初戦敗退だと思っていました」というチームが決勝まで勝ち進んだ。池上穣司主将(3年)は「あそこで試合をするだけでチームが変わる」という。指揮官も「何が起きるか分かりませんよ」と含みを持たせた。昨春の準優勝校がどん底からはい上がる。【本郷昌幸】