<高校野球・春季東海大会:常葉学園橘5-3愛知啓成>◇26日◇草薙球場◇決勝

 常葉学園橘(静岡1位)が5-3で愛知啓成(愛知2位)に逆転勝ちし、創部46年目で初優勝を飾った。県勢の優勝は06年の静岡学園以来2年ぶり、のべ19校目。5回に川口雄佑左翼手の2試合連続本塁打で勝ち越すと、エース庄司隼人が8奪三振で5安打完投した。7番山田飛輝(しぶき)捕手(すべて2年)を公式戦初スタメンに抜てきするなど、夏を見据えた余裕のある選手起用で頂点に立った。

 常葉学園橘が逆転で、夏の前哨戦となる東海を制した。2-3で迎えた5回表。2四球でつくった好機から併殺打の間に無安打で同点に追いつくと、5番川口が勝ち越し本塁打を左翼席へたたき込んだ。スライダーを読み切った2試合連続本塁打に「ちょっと狙ってた。甘い球が来た。打ててラッキー」。8回には杉山慶介三塁手(3年)がこの試合2本目の適時打を放ち、突き放した。

 夏を見据えた、余裕ある選手起用が光った。3番で主将を務める仁藤敬太捕手(3年)が、左太もも打撲で欠場。無理すれば出場可能な状態だったが「夏に僕が骨折などした場合に保険になる。あいつも大きい舞台でやれていい」と、小林正具監督(45)に山田起用を進言。初Vを目前にしても目先の勝利を求めず「目標はあくまで夏」というスタンスを貫いた。

 公式戦初先発の山田は、中学時代にバッテリーを組んでいたエース庄司をリード。許盗塁2を反省しながらも、8Kでの5安打3失点完投を導き「負けてはいけない中で試してもらったのは大きい」と自信をつけた。サインに何度も首を振った庄司は「打者の間合いを外すためだった」と説明。あえて球種のサインを1周させ、結局は山田の要求通りに球を投じていた。最後の打者を打ち取ると、バッテリーはがっちり握手を交わした。

 昨秋東海大会で4強入りも、今春センバツは補欠の2番手だった。「ネット誤報」騒動もあり悔しさは倍増。杉山は「ここで優勝して、他を選んだ人に『橘を選んでおけばよかった』と思わせたかった」。大差、接戦、逆転とさまざまな経験を積んだ常葉橘が、本番の夏へ弾みをつけた。【斎藤直樹】