<高校野球・春季北海道大会:北海11-0駒大苫小牧>◇30日◇2回戦◇札幌円山

 春の3連覇を目指した駒大苫小牧が、北海の前にチーム史上初の5回コールドで散った。登板した3投手が計13安打を浴び、打線も北海の右腕・鍵谷陽平(3年)に4安打0封を喫し、0-11で敗れた。初戦(函館工戦)に続き失策も3個と、守りからリズムをつくる伝統のスタイルが全く機能しなかった。この屈辱をバネにし、夏まで必死に再建を目指していく。

 まるで悪夢を見ているようだった。駒大苫小牧の先発サブマリン浪岡一平(3年)が、初回から北海打線につかまった。3長短打を集中され早々と2失点。すぐに取り返すだろうという駒苫ファンの期待とは裏腹に、3回にも3安打でさらに2失点。1万人の観衆にどよめきが起きた。

 4回から救援した佐々木大二郎(3年)は、いきなりの中堅手の失策で動揺。送りバントを一塁に悪送球し、傷を広げた。5回からスクランブル登板のエース大沼和輝(2年)も死球を連発し、右翼手の失策もあり5失点。計11失点で、まさかの5回コールド負けを喫した。

 最近では06年秋の室蘭地区予選2回戦で北海道栄に7回コールド負けがあったが、5回コールド負けは過去にない。創部以来45年目にして初の出来事に、途中経過を問う球場への電話では「間違いじゃないのか」という声が続出したほど。04年夏の甲子園初制覇から続く栄光からは、想像もつかない屈辱の敗戦となった。

 この悔しさは夏に晴らすしかない。茂木雄介監督(27)は「守備でリズムをつくれないと波に乗れない。夏への課題がはっきりした」と3失策も絡んでの結果を冷静に語った。選手たちにも涙はない。真田大輔主将(3年)は「気持ちを切り替えて夏を目指すしかない」と、すぐに前を向いた。

 これまでも屈辱や不運をバネに変えてきた。04年夏の全国制覇は、前年の雨天再試合負けをバネにしたもの。05年夏の2連覇は、同年春の全道1回戦敗退に奮起しての結果。06年の準優勝は、前年の元部長の不祥事を乗り越えたものだった。今回も「夏まで死に物狂いでやる」と対馬和樹捕手(2年)。試練を乗り越え、6年連続の甲子園をつかみにいく。【本郷昌幸】