PL学園(南大阪)にオリックス清原和博内野手(40)以来、1年生ながら4番に座る逸材が現れた。勧野甲輝外野手だ。数々のプロを輩出した名門に新たな1ページが加わろうとしている。

 父がその名に込めた願いを、勧野は16歳の夏にかなえてしまうかもしれない。「甲子園で輝くように、という思いで父がつけてくれました」と、由来を話す。球児の聖地を目指して育てられた少年が高校最初の夏、PL学園の4番に座る。

 5月31日、大阪・富田林市のPL球場で行われた立命館宇治戦で「4番左翼」でデビューし、2安打3打点。試合が終わるか終わらないかのうちに、インターネット上で「勧野デビュー!」のニュースが駆け巡った。6月8日、九州学院との練習試合では高校1号も放った。

 バッティングセンターでバットを振る姿を「富田林リトルリーグ」の監督に見初められ、4歳で入部。PL小2年で早くも身長は145センチに達し、体重は40キロを超えた。富田林二中2年で、142キロの速球を投げた。中学時代の野球教室で、勧野が投げる姿を見た阪神安藤が「これで本当に中学生!?」と、早熟ぶりに目を丸くしたほどだった。

 「清原さんのように尊敬される選手になりたい」と同じ進路を選んだPL学園で、83年清原以来の1年生4番。緒方凌介外野手(3年)、山口正輝外野手(3年)らプロ注目の先輩たちと強力な打線を組む。さらに大阪の長い夏を戦う中で、投げる方も期待される。清原は強烈なプレッシャーをはね返し、1年夏の甲子園決勝・横浜商戦で本塁打を放ち、優勝した。16日のPL学園初戦は、伝説の1ページになるか。注目の夏が始まる。【堀まどか】