<全国高校野球選手権:浦添商12-9千葉経大付>◇10日◇2回戦

 浦添商(沖縄)が両チーム合計23安打21得点の乱打戦を制した。プロ注目の千葉経大付(西千葉)斎藤圭祐投手(3年)から12点(自責8)を奪う攻撃力で12-9と勝利した。エース伊波翔悟(3年)は125球を投げて2試合連続完投。

 耳をつんざくような歓声の波が浦添商ナインを包んだ。8回、1死一、二塁で5番宮平卓(3年)のタイムリーで、1点差まで追い上げてきた千葉経大付を突き放し、勝利を決定づけた。「追い詰められていたので少しでも点差が離れればチームが楽になると思って振りました」と宮平は顔をほころばせた。

 相手がセンバツ4強でも気負いはなかった。スピードで圧倒した。1回に5点、3回までで9安打10得点。相手エース斎藤から長打、相手のミスを誘う走塁や、セーフティースクイズなどで自在に点を重ねた。この日4番に座った山城一樹(3年)は初回、2回と迷いなく次の塁を狙う積極的な走塁で相手のエラーを誘い、結局無安打ながら3回ホームを踏んだ。初戦で左手首をねんざし、思い切りバットが振れない状態だが「打てなくても気持ちでいきました。この走塁はチーム全体で徹底していることです」と話した。神谷嘉宗監督(53)は、冬場に走塁技術の高い常葉学園菊川の練習を視察。スピードあふれる攻撃を目指してきた。「前半は最高の攻撃が出来ました」と満点をつけた。

 序盤からの大差で気が緩んだのか?

 エース伊波翔悟(3年)が一時は点差を8点から1点まで追い上げられた。終盤は息を吹き返し、最後の打者を、この日最速の147キロの速球で10個目の三振に切った。「単調になってしまった。焦りがあったかもしれません」とエースは勝利にも反省顔だ。

 念願だったカクテル光線を浴びて、大声援を受けて強豪を破った。「沖縄で試合をやっているようでした」と伊波は声援に大感激。センバツV校・沖縄尚学を倒して甲子園に乗り込み、センバツ4強を倒して波に乗る。次は11年ぶりの8強入りを目指す。【前田泰子】