<秋季高校野球・岩手県大会:花巻東7-0盛岡一>◇15日◇準々決勝4試合◇市営花巻球場ほか

 “リニューアル菊池”が魅せた。花巻東が8回コールドの7-0で盛岡一に勝利。来秋ドラフト候補の最速149キロ左腕、菊池雄星投手(2年)が6安打6奪三振で、公式戦初の0封勝利を挙げた。制球力向上のため4日前にフォームを改造したばかりだったが、それでも最速は145キロをマーク。同校初のセンバツに向けて、20日の福岡との準決勝で東北大会出場を決める。

 最後の打者を空振り三振に仕留めると、菊池は笑顔で雄たけびを上げた。ウイニングショットは自慢の直球ではない。外角低めへのスライダーだった。「今日は、かなりコントロールが良かった。次につながります」。試合後、納得の表情で収穫を語った。

 フォームを、本来のオーバースローからスリークオーターに変えた。6日の地区予選決勝の花巻北戦で、6回まで投げ9四球。制球難克服のため11日に首脳陣と相談し、リリースの瞬間に、ひじの位置を下げることを決断した。

 新投法を身に付けて4日後のこの日、四球は2個。得点圏に走者を背負う3度のピンチも、低めに球を集め得点を許さなかった。2回の先頭打者への2球目には、この日最速145キロを計測。6奪三振のうち4つは、伸びのある直球でバットに空を切らせるなど素質を見せつけた。

 背番号1を背負うことで自覚が芽生えた。「勝てる投手にならないと意味がない。速い球を投げたい気持ちはあるけど、まずはチームのために勝てる技術を身に付けたい」と、スタイル変更を前向きにとらえる。逸材が甲子園という目標に向かって、成長を遂げている。【由本裕貴】